AIインフラ投資は、いまや明確な「チキンレース」の様相を呈している。
メタは2026年の設備投資額を1150〜1350億ドルに引き上げた。2025年のほぼ倍だ。マイクロソフト、アマゾン、グーグルも軒並み数百億ドル規模のデータセンター投資を計画している。
「投資しなければ競争から脱落する」という恐怖が、合理的な投資判断をゆがめているようにも見える。
ソフトバンクGの孫正義会長は「AIは人類史上最大の革命」と繰り返し語り、積極投資の旗を振り続けてきた。
だが、そのビジョンの大きさと、足元で起きているスターゲート計画のつまずきとの間には、無視できない距離がある。5000億ドルの壮大な計画が、資金調達の難航と需要予測の変動という極めて現実的な理由で縮小を余儀なくされている。
ここに、SDカードの歴史から得られる教訓がある。半導体産業において、巨額投資は「先手を打った者が勝つ」という確信のもとに行われてきた。
だが実際には、投資のタイミングと規模を誤った企業は、いかに技術力があっても巨額の損失を被ってきた。DRAMで一世を風靡したエルピーダメモリが2012年に経営破綻したのは、まさにこの教訓の典型例だ。
もちろん、AI投資のすべてが無駄になるわけではない。データセンター需要は構造的に拡大しており、AIの社会実装が後退するシナリオは現時点では考えにくい。
テキサスの拡張計画が中止された一方で、スターゲートの基盤となる土地の開発自体は継続しており、オラクルとOpenAIとの全体的なパートナーシップも維持されている。
しかし、注視しなくてはならないのは「投資の収益化までの時間軸」と「技術陳腐化のスピード」である。
いま建設するデータセンターに搭載されるGPUが、5年後にどれだけの経済的価値を保持しているか。この問いに対する明確な答えを持っている投資家は、おそらくほとんどいない。
現在の最新鋭GPUが10年後に980円で家電量販店に山積みされているということがあっても不思議ではない。それ自体は消費者にとってはうれしいが、巨額投資を行った企業にとっては存亡の危機となる可能性もある。
ソフトバンクGの株価急落は、AI投資レースに参加することのリスクを、市場が改めて値付けしはじめた兆候といえるだろう。
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