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広がる「月曜日はあえて頑張らない」働き方 「サボり」と責める前に、企業が見直すべき「余白」の意義河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)

» 2026年03月13日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

著者:河合薫

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。


 日曜の夜、あの陽気なテーマ曲がテレビで流れると気が滅入る。自分の深いため息が、余計に陰鬱さを助長する。いわゆる「サザエさん症候群」です。欧米では「サンデー・スケア」(Sunday Scaries)、「ブルーマンデー」(Blue Monday)と呼ばれる「明日から仕事」という現実へのストレス症状です。

 ストレス症状は「心身からのSOS」。どんなに仕事が好きだろうと、大切な案件を抱えていようと、自分が考える以上に、心身はストレスに蝕(むしば)まれています。そのまま放置すると、鬱などの精神疾患につながり、最悪の場合、生きる力さえ奪います。

 実際、統計的にもこのタイミングで自ら命を絶つ人が増えてしまうという、悲しい現実があります。

 厚生労働省が発表した「令和4年版自殺対策白書」によると、日曜の後半から憂鬱になり、月曜の明け方には「生きていることの苦しみから逃れたい」という衝動に見舞われ、命を絶つ人が多く認められているのです。男女ともに、自殺者が最も多く発見されているのは「月曜日」でした。

kk 令和3年 発見曜日別1日平均自殺者数(「令和4年版自殺対策白書」より引用)

 同様の結果は、早稲田大学と大阪大学の研究グループの調査でも確認されています。1974〜2014年の41年間に日本国内で自殺した20歳以上の日本人のうち、40〜65歳までの中高年男性の自殺者が、月曜日の「午前4時〜7時59分」に集中。月曜日に自殺で死亡する頻度は、土曜日の1.55倍にも上っていたのです。

 今、ブルーマンデーが若者にも広まっていることが分かってきました。特に、春先の異動や、新入生が入社する時期には注意が必要です。

 そんなブルーマンデーの対処法として、米国で話題になっているのが「ベア・ミニマム・マンデーズ」(Bare Minimum Mondays)です。

「月曜日は頑張らない、無理しない」という働き方

 ベア・ミニマム・マンデーズは「静かな退職」(Quiet Quitting)の派生とも言える動きです。一言で言えば「月曜日は最低限の仕事(Bare Minimum)しかしない」というワークスタイルを指します。具体的には「午前中は会議を入れない」「メールの返信を急がない」「自分を労わる時間を設ける」など、時間的な余裕を積極的に作ります。

 このように、月曜日にあえて「やらないこと」を決め、週の始まりにのしかかる重圧を緩和することで、キャパシティオーバーによるパンクを未然に防ぐ効果が期待されています。

kk 月曜日にあえて仕事を入れすぎない(提供:ゲッティイメージズ)

 一方で、この働き方への批判も少なくありません。特に管理職や経営層からは「チーム全体の生産性を低下させるのではないか」「他者への負担転嫁であり、組織の協調性を損なう」といった懸念の声が上がっています。

 同僚からも「〇〇さんのせいで、私の仕事が増えた」「最低限の仕事って何? 全ての仕事が最低限でしょ?」「その最低限以上を、なんで私がやらなきゃいけないわけ?」「中途半端に出社するくらいなら、休んでほしい」など、口にはできない不満が出るのは想像にかたくありません。

 なにせ、日本の職場は慢性的な人手不足です。「〇〇さんに優しい職場」を実現すれば、「△△さんが酷使される職場」が作られる。結局のところ、一部のメンバーによる「自己防衛」が、チーム全体の新たな火種になりかねないというパラドックスを抱えているのです。

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