国内展開で手応えを得ているというポラロイドだが、インスタントカメラブランドとしての知名度は、チェキのほうが圧倒的に高いとみられる。2025年4月の富士フイルムのプレスリリースによると、1998年に発売したチェキは累計販売台数が1億台を突破。世界100カ国以上で販売し、年間売上高は1500億円以上に。そのうち約9割を海外が占めている。
若年女性の間で、人気に火が付いたチェキだが、今では女性のミドル・シニア層や男性にも愛用者が広がっている。最大の競合ともいえるが、ポラロイドはどのようにチェキと差別化を図るのか。ドッサ氏は、富士フイルムへのリスペクトを示した上で、「提供する価値や顧客が互いに異なっていると考えている」と話した。
「ポラロイドがフォーカスしているのは、デジタル時代においてバランスを取るようなアナログ体験で、ゆっくりとした創造性や人間的で物理的な体験を提供しています。当社がコアターゲットとしているのはクラフト志向のユーザーであり、より高度な撮影コントロールを求めるクリエイターに向けて設計されています」
ドッサ氏が話すように、製品のラインアップを見ても、両社の戦略には違いが見える。アナログ体験にこだわり、細部まで表現しやすい高額モデルも展開するポラロイドに対し、チェキはカメラ初心者でも使いやすい機能や形状を追求しているようだ。
現在、チェキは「アナログ」「ハイブリッド」「手のひらサイズ」の3シリーズのカメラを展開。簡単な操作で個性を表現できるエフェクトや濃淡調整、自撮りに便利なセルフィー機能を搭載した機種、プリント機能を持たず、撮影に特化した極小カメラもある。2026年1月には、レトロ感のある動画撮影ができる新製品「instax mini Evo Cinema(インスタックス ミニ エボ シネマ)」(希望小売価格:5万5000円)を販売したばかりだ。
現像時間の違いも含め、チェキはより若年層やライトなカメラ好きに好まれやすいのかもしれない。今後の両社の展開にも、注目が集まりそうだ。
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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