当時、楽天での売り上げは全体の約7割を占めていた。それでも撤退を決断することに、社内で反対の声はなかったのだろうか。金谷社長は「大きな反対はなかった」と振り返る。
「『えっ』と思った社員はいたと思う。ただ、小さい会社なので意思決定は早くて『社長が言うなら』という空気だった。ただ同業の社長はみんなびっくりしていて、心配された」そうだ。
なぜそこまで思い切った決断ができたのか。金谷社長は「感覚的な勘が重要だと考えている」と持論を話す。
「データや状況を客観的に眺めて、自分が本当に進みたいのは何なのかを体感覚で考える。あの時は必死だったが、今振り返れば、そのようなプロセスだったかなと。『今のまま楽天を続けたら駄目になる』という確信があったので覚悟を決めるしかなかった」(金谷社長)
もう一つの理由が、実店舗への思いだった。楽天での販売は、1回の購入で終わる関係も多い。一方で、店舗では顧客と長く関係を築けると感じていたという。
「オンラインというのもあって、楽天は1回で終わる関係性が多い。自分のやりたい仕事はリアルの現場にあった。本当にやりたいことに集中して、売り上げのために頑張るのはやめていこうかなと思った」と話す。
ただし、撤退の代償は小さくなかった。ネット販売を担当していた社員が多かったこともあり、撤退後には店長を含む7人の従業員が退職。翌年にも2人が会社を去った。
業績面でも打撃は大きく、15年ぶりの赤字を記録。人手不足から店舗の営業時間も短縮することになった。
「『仕事がなくなるからやめます』という子もいて、正直助かった面もあるが、つらいのはつらかった。自分で決めたことではあるが、赤字の額も大きく、本当にきつい状況だった」という。
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