完成したリニューアルオフィスの核となるのが「FL@T」(フラット)と名付けられた共創スペースだ。社内外の交流イベントや勉強会にも対応し、最大100名規模のイベント開催も可能な「ワークラウンジ」に加え、建築設計事務所である同社の事業内容に合わせた「レビュールーム」や「1day-PJルーム」を設けた。
設計図面を見やすいよう、複数の大型ディスプレイを配置したレビュールームでは、現地参加者とリモート参加者が同じ資料を同時に確認しながら意見を交わせる。ハイブリッド会議特有の「現地とリモートで集中度に差が出る」という温度差の解消を狙った空間だ。
1day-PJルームは、作業スペースと打ち合わせスペースを同一空間内に配置し、執務席と会議室を行き来する手間を省いた設計だ。コンペや提案準備など、1日でアウトプットを仕上げたい場面に適している。
「1日単位でプロジェクトチームが使える会議室は、以前のオフィスにはありませんでした。議論と作業を同じ場所で完結できるのが、社員には新鮮だったようで好評です」(齊藤氏)
こうした「集まることの価値」を最大化するスペースに加え「距離という壁を超える」仕掛けも設けているのが「FL@T」の特徴だ。
例えば、大阪オフィスや武蔵野研究開発センターなど離れた拠点と、等身大の映像と高品質な音声でリアルタイムにつながる大型ディスプレイ「OPEN HUB Window」を導入。複数人が同時に自然な会話を交わせる没入感が、通常のWeb会議とは異なるコミュニケーション体験を生んでいる。
「関西の社員が表彰された際に、本当にその場にいるかのように、写真撮影もOPEN HUB Window越しに行いました」(齊藤氏)。現在はイベントや勉強会での利用が中心だが、たまたま通りかかって声をかけるというような偶発的なコミュニケーションを生む常時接続を目指す方針だ。
加えて「FL@T」ではAI活用の実証実験も実施している。AIアバターによる会議支援ツール「AIブレストツール」の実証実験では、ツールなしの場合に平均11個だったアイデアが、導入後は平均20個へと増加した。アイデアの網羅性や分類の容易さが高まり、深掘りや新たな組み合わせによる質の向上も確認されている。利用者の約80%が「今後も使いたい」と回答しているそうだ。
一方で、課題もある。「AIへの指示の出し方(プロンプト)次第で、議論の深まり方が大きく変わります。うまく使いこなすには相応の慣れが必要です」(木村氏)。AIをうまく使いこなせる人とそうでない人の間にスキルの差が生まれやすく、会議という共同作業の場でその差が成果に直結する難しさが明らかになった。実証実験は一区切りしたが、得られた知見はワークプレイスソリューションの開発に継続的に反映していく考えだ。
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