土産品店、サンドイッチ店、ケーキ店……元・百貨店の転身から考える「業態転換」のヒント後編(4/4 ページ)

» 2026年03月30日 08時00分 公開
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百貨店には、ビジネスのヒントが詰まっている

 少子高齢化や競争の激化といった市場環境の変化により、とりわけ地方では百貨店の経営が厳しさを増している。閉店に追い込まれる百貨店も少なくない一方で、前後編にわたって紹介してきたように、百貨店時代に培ったさまざまな資源を生かし、時代に合わせた業態へと生まれ変わることで「老舗としての新たな歴史」を紡いでいる元・百貨店企業も少なからず存在する。

 もともと、多くの百貨店は老舗の呉服店や洋品店などが時代の変化に応じて柔軟に業態転換を重ねることで成長してきた歴史を持つ。言い換えれば、百貨店という業態そのものが「業態転換の成功例」であったのだ。

 老舗の底力は、単に歴史の長さのみに由来するものではない。市場環境が激しく変化する中「老舗=変わらない存在」ではなく、自らの価値や強みを見つめ直し、時には「百貨店」という暖簾を下ろしてでも生き残りを図る。こうした柔軟な発想と決断力は、長年にわたり顧客と向き合い、多くの経験を積み重ねてきた百貨店企業だからこそ生まれたものだといえるだろう。

 読者の思い出の老舗百貨店も、姿を変えてどこかで復活を遂げているかもしれない。その変身の軌跡をたどってみれば、目まぐるしく変化する21世紀の市場で戦うあらゆる企業に通じるヒントが見えてくるはずだ。

【参考文献/出典】

加藤義忠・佐々木保幸・真部和義 編(1996):『小売商業政策の展開』同文館.

ジャスコ株式会社 編(2000):『ジャスコ30年史』ジャスコ.

ダイエー社史編纂室(1992):『ダイエーグループ35年の記録 − For the customers』アシーネ.

株式会社三越編(1990):『株式会社三越85年の記録』三越.

トキハ・大分合同新聞文化センター編(2001):『ふるさと大分とともに−トキハ65年の歩み』トキハ.

日経BP社 編(2010):ターゲットは百貨店に興味のない人たち 街とともに歩む「人をつなぐ店」を目指す(マルヤガーデンズ座談会).日経アーキテクチュア (928),pp.34-39, 日経BP社.

満州国国務院弘報処 監修・松野志気雄 編(1940):『満州国』.朝日新聞社.

若杉優貴(2013):中心市街地における大型空き店舗の再活用が商店街に与えた影響 -宮崎県日向市・都城市の各中心商店街を事例として-.都市地理学2013(8) ,pp.52-67.

そのほか関係各社のWebサイト(2026年3月閲覧)

【取材協力】

三中井(滋賀県彦根市)


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