「社内でも一切使うな」ということではない。重要なのは、場・相手・関係性の3つをしっかり見極めることだ。
例えば若手社員との雑談の中で「それ、詰んでるじゃないか(笑)」と使うのは、さほど問題にはならないだろう。相手との関係性が十分にあり、場が雑談モードであれば、若者言葉は「この人、堅くないな」という親しみやすさにつながることもある。
実は筆者(56歳)も、若者言葉がいつの間にか染みついてしまっていて、ついつい口にしてしまうことがある。私には22歳の息子と、19歳の娘がいて、子どもたちと話しているとたまに、
「それ、ワンチャンあるな」
と言ってしまうのだ。子どもたちと違和感なく話しているせいか、ついつい部下と話しているときにも言いそうになる。先述した通り、雑談モードのときはいいのかもしれない(積極的に使う必要はないだろうが)。
会議やミーティング、報告・連絡・相談の場ではどうか。こういった「仕事モード」の場では軽率な印象を与えてしまうだろう。「場の空気」が締まらなくなる。
大切なのは「相手が使っているから自分も使う」ではなく、「この場でこの言葉を使うことが、相手との関係にとってプラスになるか」を考えることだ。若者言葉を使えるかどうかは、語彙(ごい)の問題ではなく、場の読み方の問題である。
若手社員とのコミュニケーションを改善したいと考えるベテラン社員の中には「若者言葉を覚えれば距離が縮まる」と思っている人がいる。しかし、それは手段と目的を取り違えている。
若手が上司や先輩に求めているのは、自分たちの言葉を使ってくれることではない。
「自分の話をちゃんと聞いてくれているか」
「自分の仕事や成長に関心を持ってくれているか」
「困ったときに頼れるか」
――そういった、関与の姿勢だ。
「ガチで」や「神」を使いこなす上司より、部下の話を真剣に聞き、的確なフィードバックを行い、成長を信じて粘り強く伴走してくれたほうが圧倒的に信頼される。言葉のうわべを合わせるより、中身で勝負すべきなのだ。
若者言葉を無理に覚えて使おうとするエネルギーがあるなら、部下との1on1の質を高めることに使ったほうが、よほど関係構築に役立つだろう。
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