その思惑が彼の真意なのかどうかは別にして、アルトマン氏は彼の考えるASIの定義をポッドキャストの中で明らかにした。私が知る限り、同氏がASIの定義を口にしたのは初めてだ。
その定義とは「アメリカ合衆国大統領や、巨大企業のCEO、あるいは非常に大きな科学研究所の運営を、人間よりもうまくこなせるAIのこと」というものだ。
無数のAIエージェントのみで構成された組織のトップとして「組織を運営するのもAI」という構図だ。人間は直接管理できる部下の数が限定的なので、どうしても組織はピラミッド構造になってしまう。しかしAIカンパニーのAIのCEOは、社員が何人いたとしても直接管理が可能だ。CEOの思うように組織を運営できるようになる。
一方でアルトマン氏によると、人間はその組織の取締役として、取締役会を通じてAIのCEOに指示を与える立場になるという。指示通りにAIのCEOが動かなければ、AIのCEOを解任することもできる。実際に働くのはAIではあるものの、その方向性を決めるのは人間になるという。
こういう組織運営が可能なAIのことをASIと呼ぼう、というのがアルトマン氏の提案だ。逆に言えば、こうしたことが可能なように、OpenAIはAIの開発を進めているということになる。アルトマン氏が示したAIの未来図。なかなか興味深いものがある。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「AGIは実現したということで、次に行こう」(2025年12月27日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
湯川鶴章
AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。
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