今回のヒットは、既存の売れ筋をなぞるだけではたどり着けませんでした。ニッセンが働く女性たちのリアルな生活動線を分析すると、作り手の常識とは全く異なる実態が見つかりました。
女性の方が男性よりも、スマホ、名刺、鍵、リップ、生理用品など、持ち歩く小物が細かく、そして多いのです。この気付きは女性にも男性同様にポケットが必要ということにとどまらず、むしろ「女性にこそ機能的なポケットが必要ではないか」という仮説を生み出しました。結果として購入者からは「まさにこういう商品が欲しかった」という反響が得られています。
加えて、このプロジェクトは「非購入者」の声にも向き合いました。
ニッセンが行った調査では、第1弾の購入を見送った層から「今持っている服で十分」という意見が複数確認できました。しかし商品開発を担当したチームはそこで諦めず、「ポケットが必要なシーンを具体的に想像できていないのではないか」と分析したのです。
そこで第2弾では、単にポケットを増やしたという機能面の説明をするのではなく、名刺交換やバッグを持たない程度の離席など、具体的なシーンを訴求しました。また、ビジネスから育児などのプライベートまで、「手ぶら」でいることが機動力を生み出すという体験価値を打ち出しました。こうした訴求がうまく刺さり、売り上げにつなげることができました。
「○○とはこういうものだ」という常識によって素通りしてしまう中にこそ、実は未開拓の市場が眠っています。常識を疑うことの積み重ねが、一見成熟した市場に眠る「諦めていた欲求」を呼び起こし、ヒット商品を生み出すのではないでしょうか。
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