次に、就職氷河期という世代の括りに焦点を当てたことで、他世代との間に新たな格差が生じかねない弊害があります。
政府の就職氷河期支援プログラムは「就労・処遇改善に向けた支援」「社会参加に向けた段階的支援」「高齢期を見据えた支援」という3つが柱です。しかし、同様の課題を抱える人は、全ての世代に存在しています。
氷河期世代を見捨てない姿勢を示す必要はあるとしても、氷河期世代以外を見捨ててもよいわけではありません。
キャリアの初期段階でつまずくと、生涯にわたって不利益を被りやすいという日本の雇用システムが抱える欠陥は全ての人に影響を与え、個人の力では回避しきれません。支援対象を就職氷河期世代に絞るのは不公平感を助長します。
実際のプログラム名称には就職氷河期世代等と「等」の字が入っていますが、全世代を対象とする意図があるのであれば、就職氷河期世代という言葉を冠に付けることで、支援の趣旨が分かりづらく、他世代の人たちは、対象外だと誤解しかねません。
3つ目の弊害は、過去の就職氷河期世代にばかり注目し、新たな就職氷河期世代が何度も生まれていることです。
文部科学省の「学校基本調査」を基に、四年制大学の卒業者における就職者の割合を算出してみました。
就職氷河期の初年である1993年の就職者割合は76.2%でした。それに対し、2005年の大学卒業者の就職者割合は59.7%で、2014年まで60%台が続きます。2015年には70%台まで回復したものの、2017年までは1993年の76.2%を下回る状況が続きました。
さらに、2021〜2023年にかけても76.2%を下回っています。この時期はコロナ禍での採用減が影響していると考えられます。
2005年以降で1993年の水準を超えたのは、2018〜2020年と2024〜2025年の5年だけ。新たな就職氷河期が生まれ続けているのです。
30代後半は「捨て駒」なのか? 新卒&シニアへの大盤振る舞いの陰で広がる「働き盛り」の絶望感の正体
やっぱり、すぐ辞める新人は世の中をナメているのか 「倍速退社」の背景にある企業の病
なぜ「就職氷河期世代」は40代・50代になっても給料が増えないのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング