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ソフトバンクG、日本最高益5兆円突破 OpenAI投資益6兆円超えも「一本足打法ではない」 その根拠は?

» 2026年05月14日 15時15分 公開
[荒岡瑛一郎ITmedia]

 ソフトバンクグループ(以下、SBG)は5月13日、2026年3月期連結決算において純利益が5兆22億円を超えたと発表した。同社によると「日本企業として史上最高益」だといい、後藤芳光氏(取締役 専務執行役員 CFO兼CISO)は「何事においても1番は気持ちが良い」とコメントした。

 米OpenAIへの投資利益約421億ドル(約6兆6000億円)が純利益を押し上げた。OpenAIの企業価値向上などが追い風となり、保有株式の時価純資産(NAV:ネットアセットバリュー)は40兆1000億円に到達。期末時点でSBG史上最高額を記録した。

 OpenAIへの傾斜を警戒する見方もあるが、後藤CFO(最高財務責任者)は「OpenAIの貢献は大きいが、一本足打法ではない」と主張する。その根拠とは。

photo 5月13日の決算説明会に登壇したSBGの後藤CFO(編集部撮影)

OpenAI投資益6兆円超えも「一本足打法ではない」 その根拠は?

 後藤CFOは、2026年3月期について「われわれが目指す『ASI(人工超知能)のナンバーワンプラットフォーマー』に向けて本格稼働した1年だった」と振り返った。注力した投資領域が「AIモデル」「AIチップ」「AIインフラ」「フィジカルAI」だ。

 AIモデル領域の主役がOpenAIだ。同社の企業価値は7300億ドル(約115兆2000億円)に上り、SBGが初めて出資した2024年9月から約5倍になった。2025年の出資額は324億ドル(約5兆1000億円)で、2026年10月までに300億ドルの追加出資を予定しており、累計投資額は646億ドル(約10兆2000億円)に達する。

 SBGのNAVを構成する投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(以下、SVF2)の投資利益約453億ドル(約7兆2000億円)のうち、約93%をOpenAIが占める。

photo SVF2の投資利益の内訳(出所:SBGの2026年3月期決算説明会資料、以下同)

 生成AI市場では、米AnthropicなどOpenAIを追随する企業が登場している。OpenAIに集中的に投資していることへのリスクを問われた後藤CFOは、次のように説明した。

 「OpenAIへの投資金額が大きいことは事実だが、われわれの持分比率は13%だ。われわれ以外の投資家――米Amazon、米NVIDIAなども大きな金額を投資している。われわれが財務的なリスクを全て負うわけではない」

発電所+AIデータセンター建設 東京都の電力需要を超える規模

 後藤CFOは、AIモデル以外の領域でも成果を強調して「一本足打法だけではないことが大事だ」と述べた。

 AIチップ領域では、SBG傘下の半導体設計企業である英Armの売上高が49億2000万ドル(約776億円)で過去最高となった。Armは半導体の設計図などIP(知的財産)を取り扱う企業で、米Microsoftや米Amazon Web Servicesなど大手クラウド事業者がArmの技術を採用したことが売り上げ拡大に寄与した。

 AIインフラを巡っては、3月に発表された米オハイオ州での大型発電所およびAIデータセンター建設プロジェクトが目玉となる。発電所の発電容量は10ギガワットで、東京都の1時間当たりの平均電力需要を上回るという。SBG参加のインフラ企業であるSB Energyなどが参画する。

photo オハイオ州で建設する拠点「PORTS Technology Campus」の起工式の様子

 フィジカルAI領域については、SBGとSVF2が投資した約20社のロボティクス企業を集約したロボホールディングスを設立した。2026年後半には、世界的ロボットメーカーであるスイスのABBグループが持つロボティクス事業の買収が完了し、フィジカルAIの推進体制を強化する見込みだ。

「孫正義社長もやりたいことがいっぱい」 投資方針は

 財務面では、2026年3月期は売上高7兆7987億円、投資損益7兆2865億円、純利益5兆23億円となり、軒並み増益となった。LTV(ローントゥバリュー:株式評価額に対する借入金の割合)は17%で、前年度から1ポイント改善した。

 「大規模な投資をしているが、LTVは改善している。5月13日時点のLTV概算値は15%になっており、2027年3月期はさらに改善することは間違いない」(後藤CFO)

photo SBGの2026年3月期連結業績
photo 財務指標の結果

 SBGは、AIブームを追い風にしてNAVを大きく伸ばした。2027年3月期もOpenAIなどへの投資を予定するが「LTV25%未満で運用し、2年分の社債償還資金を保持する」という財務方針は堅持する。

 「AI伸び伸びの時代で、孫正義社長も経営陣もやりたいことがいっぱいあるが、野放図に投資しては会社が潰れてしまう。安全な範囲内で投資する上で、財務方針が重要になる」(後藤CFO)

 OpenAIやArmをはじめとしたAI時代のキープレイヤーに出資するSBGは、AI時代の時流をつかみ、ASIのナンバーワンプラットフォーマーの座に就けるか。

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