ソフトバンクグループ(SBG)会長兼社長でソフトバンク取締役創業者の孫正義氏は7月16日、ソフトバンクが都内で開いた法人向けのイベントで「グループ全体で年内に10億のAIエージェントを作る」と宣言した。ソフトバンクが中心となり、社員1人当たり1000ものAIエージェント作成を目指すという。AIエージェント自身が、自己増殖と自己進化をする仕組みを作る考えも明らかにした。
グループ全体で10億のAIエージェントを作る計画を明らかにした。すでにグループの幹部とも進捗報告を済ませ、スケジュールを共有しているという。
AIの最先端を担う米OpenAIと共同開発している、生成AIを駆使して複雑なタスクを素早くこなす企業用最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」上で実現すると述べた。
孫氏は「生成AIが自己増殖する仕組みを作る」と話す。つまりこれはAIが人間に代わって業務をこなすために、AIエージェント自体が自身で考え、その他のAIエージェントとコミュニケーションを取りながら、その次のAIエージェントを開発できるようにするということだ。
これまでは人間が状況を判断してAIに対して指示をしていた。これが今後は、それぞれのAIエージェントが自ら判断して行動を起こすようにするという。
「財務は財務、営業は営業などの業務で、あらゆる行動を一つ一つモニターしながら、エージェントがエージェント同士でコミュニケーションしていく」(孫氏)
この日はOpenAIの共同創業者であるSam Altman(サム・アルトマン)氏とも対談。AIについての可能性と懸念を語り合った。
孫氏は1月、米国のトランプ大統領、アルトマン氏、オラクルのラリー・エリソン会長兼CTOとともに、米国内に新たなAIインフラを構築する「Stargate Project」(スターゲート・プロジェクト)を発表。今後4年間で、米国のAIインフラに5000億ドル(約78兆円)を投資する計画だ。講演で孫氏は、「スターゲートの法則」として次のような成長モデルを提示した。
これらが掛け合わせられることによって、1サイクルあたり1000倍の進化が実現するという。さらに、この進化が3回繰り返されると「1000倍×1000倍×1000倍=10億倍」となり、現在と比べて10億倍の進化が起こる、というのが孫氏の見立てだ。
「自転車と新幹線のスピードの違いは20倍。たった20倍の差で全く別の乗り物になるんです。見える景色は全く別物です。以前、人間と金魚のニューロンの数は1万倍の差があると言いました。10億倍だと人間対何になるのか? こんな未来が、われわれが生きている間、たった数年でやってくるんです」
その上で、AIについての懸念点であるハルシネーションについては「一時的な些細な問題」だと言い切った。
「(AIエージェントのもたらす未来の)イメージがどんなものなのかとChatGPTに相談したら千手観音だと。千本の手があり、その手に目がついていて、病気で困っている人、悩んでいる人、問題がある人を助けてくれる。人々を幸せにする千手観音。われわれはスーパーサイヤならぬスーパー人間になっていく。あらゆる戦略の立案、事業計画、交渉、開発、全部(AIエージェントが)やってくれます」
さまざまな交渉事まで全てAIエージェントが実行する未来も、遠くない時期に訪れるかもしれない。
孫正義氏「大企業向けに最先端のAIを」 ソフトバンクグループとOpenAIが実現へ
孫正義氏、OpenAIと「AIエージェント」の覇権狙う キーワードは「独占販売」
NVIDIAフアンCEO大いに語る CESで明らかにしたこととは?
「日本なくしてNVIDIAはなかった」 フアンCEOが語った真意は?
NVIDIAフアンCEOが「1on1」をしない理由 “階層なき”組織運営は機能する?
NVIDIAフアンCEOに聞く孫正義氏の「先を見通す力」 ASI実現への見解は?
孫正義「A2Aの世界が始まる」 数年後のAIは“人が寝ている間に”何をする?
“孫正義流”ChatGPTの使い方とは? 「部下と議論するより面白い」
ChatGPT創業者が慶大生に明かした「ブレイクスルーの起こし方」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング