米有力情報サイトThe Informationは、米OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOが社内文書で、自身の役割を見直し、安全・セキュリティ両チームの直接監督から一歩退く一方、資金調達やサプライチェーン管理、さらに「前例のない規模のデータセンター建設」に注力する方針を示したと報じた。
同文書によると、次世代AIモデルのコードネーム「Spud」の事前学習が完了した。アルトマン氏は、数週間以内に非常に強力なモデルを投入できるとの見通しを示し「経済を真に加速させることができる」との期待も語ったという。
The Informationは、同氏が社内で「物事は私たちの多くが予想していたより速く動いている」と述べたと伝えている。
この新モデルの投入を優先するため、OpenAIは動画生成サービス「Sora」のモバイルアプリやAPIを整理した。社内では以前から、Soraが計算資源を大きく消費しているとの指摘があり、今回の判断は、限られたリソースをより中核的な領域へ再配分する動きとみられる。
The Informationによれば、この方針転換に伴い、米Walt Disneyが予定していた約10億ドル規模の投資計画も見送られる見通しだという。同投資は2025年12月に結ばれたSoraのライセンス契約に関連していたが、事業方針の見直しにより前提が崩れたためとされる。Walt Disneyは同誌に対し、OpenAIの優先順位の変更という判断を尊重するとの立場を示した。
もっとも、Sora関連の研究開発が完全に停止するわけではない。報道では、同チームは今後、ロボティクスへの応用も視野に入れた「ワールドモデル」の長期研究へと軸足を移すとされている。動画生成は単体サービスとしてではなく、現実世界の理解やシミュレーション技術の一部として再定義される可能性がある。
OpenAIはこのところ、個別プロジェクトを広く展開する戦略から、ChatGPTやコーディング、法人向けサービスといった中核領域へ資源を集中させる姿勢を強めている。報道によれば、ChatGPT、コーディングエージェント「Codex」、ブラウザ「Atlas」を統合したデスクトップ型の「スーパーアプリ」構想も社内で共有されている。
背景には競争環境の変化がある。米Anthropicはエージェント分野で急速に存在感を高め、米Googleも基盤モデルと業務向けAIの両面で攻勢を強めている。OpenAIにとってSpudは単なる次世代モデルではなく、どの領域に経営資源を集中し、どの競争軸で戦うのかを示す試金石となりそうだ。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「OpenAI、次世代モデル「Spud」事前学習完了 Soraは整理へ」(2026年3月26日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
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