「SaaS is Dead」でも採用激化? 「作れるだけ」のエンジニアが淘汰されるワケ(1/4 ページ)

» 2026年05月22日 08時00分 公開

著者:芦野成則

レバテック株式会社 リクルーティングアドバイザー

一橋大学を卒業後、官公庁に5年半勤務し、2019年にレバレジーズに中途入社。企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザーとして、多角的な視点から採用支援を実施

 SaaS is Dead──生成AIの進化を背景に、SaaSは不要になるのではないかという議論が、SNSや投資家向けの論考を中心に広がっています。

 AIによるコード生成や業務自動化は急速に進み、人が担っていた作業の一部は代替され始めています。その点では、この見解にも一定の合理性はあります。

 一方、SaaS業界の採用市場は縮小することなく、むしろ強化する企業も目立ちます。しかし、求める人材の条件が大きく変化しました。

 AIによるSaaS開発が容易になった今、企業が求めるIT人材の条件とは何なのでしょうか。

IT人材の採用現場の観点から見た「SaaS is Dead」論(出所:ゲッティイメージズ)

なぜ「SaaSは終わった」と言われるのか

 なぜ「SaaSは終わった」と言われているのでしょうか。その背景には、一時的なトレンドではない「3つの変化」があると考えています。

 第1に、ID課金モデルの揺らぎです。

 従来のSaaSでは「ユーザー数に応じた課金モデル」が主流とされてきました。しかし、AIが1人で複数人分の業務を代替するようになれば、この前提は崩れます。ユーザー数が増えなくても生産性は上がるため「ユーザー数=売り上げ」というモデル自体が成立しづらくなっています。

 第2に、UI価値の相対的低下です。

 これまでSaaSの競争力は、使いやすいUI/UXに大きく依存してきました。しかし、AIエージェント同士がAPIを介して直接やり取りする世界では、人間が操作するインタフェースの重要性は相対的に低下します。つまり「どれだけ使いやすいか」よりも「どれだけシステム同士がつながるか」が価値の中心になりつつあります。

 第3に、開発のコモディティ化です。

 生成AIの進化により、コーディングを含む実装工程など、一定の領域ではエンジニアリングの実現ハードルが下がっています。これにより「特定の業務を自動化する機能を作れること」自体の希少性は急速に低下しています。実際に現場でも「この程度の機能であれば自社で内製化できるのではないか」という認識が、着実に広がっていることも事実です。

 これら3つの変化を踏まえると、SaaSが終わったように見えるのは、ある意味自然な流れともいえるでしょう。

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