前述の通り、二重価格を導入してもオーバーツーリズムは解決されないだろう。
バスやタクシーなどの旅客運送事業者は、正当な理由がない限り乗車を拒否できない「運送引受義務」が定められている。そのため「観光客専用」「市民専用」の系統を設けるのは難しい。
しかし、本気で混雑解消を目指すなら「観光特急バス」の増便や、観光名所付近には止まらない系統の整備など、市民と観光客が同じバスに乗らないようにする仕組みが必要である。
市民優先価格の導入で収支の規律が乱れる可能性もある。京都市が2021年11〜12月に実施した調査によると、利用客の約8割は市民だ。やや古いがコロナ前の2012年5月に実施した調査では市民が約7割、市民以外が約3割だった。
市民の運賃を値下げした場合、変動の大きい観光需要に収支が左右されやすくなる。二重価格を導入しつつも、市民向け運賃は据え置くべきではないだろうか。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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