AVIの主張のうち、市場で最も注目されているのが「ダンススペース問題」だ。AVIは、ワコム東京支社の一角の見晴らしの良い区画が、井出社長の娘のダンス練習・撮影スペースとして長年占有されていると主張している。AVI独自の試算によれば、同スペースの年間賃料は500万〜850万円相当だという。
社長の家族が、会社が借りる一等地のオフィスの一部をプライベートなスペースとして使う。これが現金ならば、確実に刑事・民事での問題になるだろう。オフィスの一部の私的利用となるとグレーゾーンではあるが、AVIはこの動きに対して、「株主の資産を私的用途に流用している」と厳しく指摘した。
これに対し、ワコムも反論している。指摘された区画は、同社が設立した一般社団法人「コネクテッド・インク・ビレッジ」との間で正式に施設利用許諾契約を締結し、適正な対価を支払っており、現在は利用していないと述べている。
確かに、法的には正当な取引だ。ただ、コネクテッド・インク・ビレッジをワコムが設立し、そこにワコム社長の娘がダンサーとして関わるという構造を、株主という第三者が「公正」と評価するかは別の話である。
年間数百万円相当という賃料は、時価総額1100億円規模の上場会社にとっては微々たるものだろう。それでも、株主が不信感を抱くのは、こうした構図に原因があると言えそうだ。
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