「100万円修行」の次は「5000万円預金」 三井住友カードが狙う“新富裕層”「ポイント経済圏」定点観測(6/6 ページ)

» 2026年05月28日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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競争軸は「年会費」から「預け資産」へ

 ここまで見てきた変化は、富裕層向けカードの「象徴」そのものを書き換えるものだ。ステータスカードの価値は、長らく年会費の高さで測られてきた。10万円台の年会費を払うこと自体が、顧客の社会的地位を示すサインだったわけだ。Olive Infiniteは、そこに別の価値基準を重ねた。「9万9000円を払う人」ではなく、「5000万円以上を預ける人」が最上位顧客である、と。

 カード会社にとっての競争軸は、年会費の高さから始まり、決済額の多さへと広がり、いま預かり資産の規模へと移りつつある。Visa InfiniteとOlive Infiniteは、その分岐点に置かれた商品だ。

さまざまな特典を用意している

 もっとも、この設計は誰でも真似できるわけではない。銀行、カード、証券を同一グループで束ねられる会社は限られる。Olive Infiniteは、SMBCグループの構造そのものを武器化した商品でもある。

 次に問われるのは、5000万円を預けた富裕層に対して、どこまで継続的に価値を提供できるかだ。初年度の目玉企画や会員専用イベントは、最初の「驚き」を与えるには十分だろう。

 しかし富裕層は飽きやすい。年間50回のイベントを続ける中で、希少性をどう維持するか。デジタル富裕層を巡る競争の本番は、商品を投入したいまではなく、サービスが定着し始める数年後にやって来る。

筆者プロフィール:斎藤健二

 金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


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