少子化や出版市場の縮小は現在も続いているが、なぜ復刊に踏み切ったのか。
吉野氏は「クオリティーの高い、良い商品だったが、時代のニーズと合わず休刊してしまった。世の中がもう一度必要とするなら、復刊する価値があると考えていた」と話す。
再び『学研の学習』や『学研の科学』が求められる環境になりつつあると判断した背景には、AIの進化がある。AIの性能が上がっている中、知識を得るだけでなく、自ら経験して考える力の重要性が改めて注目されているという。加えて、スマートフォンの普及やコロナ禍を経て、実際に手を動かして体験することの価値も見直されつつある。
こうした変化を受け、子どもたちが自ら作り、観察し、試行錯誤できる教材への需要が再び高まっていると判断。紙媒体を取り巻く環境は厳しさを増しているが、吉野氏は『学研の学習』にはデジタルでは代替できない価値があるとみている。
「デジタルで情報を得るだけでは、差は生まれにくい。手を動かして触れることで、感動し、自分ならではの視点が育まれる。デジタルが優勢な世の中だからこそ、リアルな体験が求められている」(吉野氏)
例えば、勾玉作りキットでは、粗さの異なる複数枚の紙やすりで四角い石を勾玉の形に削り、ぴかぴかに磨きながら時間をかけて完成させる。古代の人々と同じように手を動かして、現代の子どもたちは「昔の人もこうやって作っていたのか」と実感できる。
一方、体験価値を高める手段として、デジタルも積極的に活用している。『学研の科学』の復刊に合わせて開設した「あそぶんだ研究所」は、会員数6000人超の無料オンラインコミュニティーだ。
本誌と連動したオリジナル動画や記事を配信するほか、読者の子どもたちが好きなことや気になったことを投稿して、交流できる場としても機能している。編集部によるワークショップに読者が参加して実験や工作を一緒に楽しめるほか、ライブ配信を通じて編集部のメンバーや研究者とチャットで直接やりとりすることもできる。
狙いは、付録のキットを作って終わりにしないことだ。コミュニティー上で作品を共有したり、イベントやワークショップに参加したりすることで、子どもたちが商品に触れる時間を長くし、学びや発見をさらに広げてもらう考えだ。
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