上場企業の社長がプライベートな出費を経費計上したり、会社の施設を私的利用したりというのは、昭和の時代には暗黙的に許されたことなのかもしれません。しかし、今の時代では完全にアウトです。
企業経営はグローバルスタンダード化が進んでいます。2006年には、国際基準に照らした企業の在り方を定めた会社法が施行されました。取締役会や取締役の義務・役割について旧来の日本的企業経営から脱却した考え方が明文化され、現在のわが国における会社経営の根拠法となっているのです。
会社法の定めるところでは、取締役は善管注意義務を負い(会社法第330条)、取締役会の構成員として相互に監視義務を負っています。すなわち、社長であっても一取締役であることに変わりはなく、コンプライアンス違反やモラルに反する行為がないか常に監視する義務があるのです。
取締役など(監査役等を含む)が他の取締役などの違反行為を発見または疑義を持った場合には、取締役の業務執行を監督する役割を持つ取締役会(会社法362条)へのすみやかな報告を経て、迅速かつ適切な対応をする義務もあります。この点に照らせば上記2社は、取締役たちが義務を怠っていただけでなく、取締役会も機能不全だったといえるでしょう。
社内昇格の取締役が、代表取締役である社長に意見を言いにくい環境にあるのであれば、組織のピラミッド的なしがらみのない社外取締役にガバナンス保持の期待感が高まります。
わが国においては、2015年にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が定められました。それによって上場企業は社外取締役を2人以上選任することが求められています。社外取締役の一義的役割はズバリ、企業経営を「外の目」で監督することにあります。とはいえ、制定から10年を経て制度としては定着した感が強くあるものの、果たしてそれが十分な機能を果たしているのか。上記2社のような不祥事を見るに疑問を抱きます。
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