これからの時代、オフィスの複数拠点化や分散化はさらに加速するだろう。この変化を乗りこなすために、総務担当者は「中央集権」から「適度な地方分権、自律分散型」への意識変革が必要である。
全ての意思決定を本社総務が握り、コントロールしようとするアプローチは、拠点の増加に伴って必ず破綻(はたん)する。総務の理想的な立ち位置は、各拠点が自律的に快適な環境を維持できるように「ガイドライン」(共通のルール)と「インフラ」(ツール・環境)を提供する側に回ることだ。
また、M&Aなどで新しく加わった拠点に対しては「本社のルールを押し付ける」のではなく「相手の優れた運用方法を吸収する」というリスペクトの姿勢が不可欠である。拠点の数だけ、新しい働き方のヒントや効率化のアイデアが存在すると考えよう。
複数拠点の管理は、一見すると総務の負担を増やす厄介な課題に見えるかもしれない。しかし見方を変えれば、会社全体の働き方をより柔軟に、そして強固に再設計するための最大のチャンスでもある。総務が「見えない壁」を壊すハブとなり、物理的な距離を感じさせない一体感を作り上げたとき、企業は真の多様性と成長力を手に入れるだろう。
株式会社月刊総務 戦略総務研究所 所長/早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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