ポイントは使われずに失効したほうが、発行元の負担は軽いのではないか。取材でそうぶつけると、返ってきたのは会計の話だった。
ドコモはポイントを付与した時点で、将来使われることを前提に会計処理を済ませている。通信契約に伴って付与するポイントは、付与した時点で、その分を通信売上から差し引いて計上している。
販促で配るポイントや加盟店から発行されるポイントは、どれくらい使われそうかを見積もり、先に引当金などの費用として計上しておく。いずれも配った時点で会計上の処理は織り込み済みだから、ポイントが利用されたからといって新たに損失が生まれるわけではない。
では、想定より多く失効したらどうなるか。山崎氏の説明はこうだ。「引当金を取り崩し、差益という形で営業外収益として計上される。dポイントのビジネスユニットとしては、営業外に利益が入っても全く意味がなくて、進呈したポイントがよく使われて、お客さまに『良かったな』と思っていただく印象が一番重要だ」。
その上で「使い切っていただきたい」と言い切る。
ドコモがdポイントで見ているのは、失効で浮く一時的な差益ではない。使われることで加盟店への送客が生まれ、外販収益や日常の接点に返ってくる。この循環そのものをポイント事業の「益」と捉えている(ChatGPTを用いて筆者作成)ポイントが使われるメリットは2つある。1つは外販事業だ。加盟店が買い物100円または200円につき1ポイントを進呈する際、そのポイントをドコモから買い取り、システム利用料も支払う。
「ポイントを使うために加盟店を訪れるということは、来店して買い物をされている。買い物が増えると外販事業の収入が増えて、その収益がわれわれにも返ってくる」と、会員戦略担当主査の仲本朱里氏はポイントが循環する構造を挙げる。
もう1つは接点だ。「ドコモのサービスは月に1回の支払いくらいで、お客さまがドコモを意識することはほとんどない。日々、能動的にdポイントに触れてもらいたい」(仲本氏)。接触回数が増えるほどdポイントへの心象が良くなり、それはほぼそのままドコモへの印象に重なるという。
同社はこうした層を「心象ロイヤルユーザー」と呼び、銀行など新しいサービスを案内したときに、耳を傾けてもらえる状態をつくることを狙う。
自店舗への再来店を促す家電量販店型のポイントとは、狙いが違う。利用先の約8割がドコモ以外でも、使われるたびに外販収益とユーザーの心象が積み上がる。失効を待つより、使ってもらったほうが割に合うというのがドコモの考えだ。
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