問題は観光客数と受け入れ体制のバランスなので、「日本に来るなら日本語を覚えてから来い!」などと外国人観光客を批判したり、特定の国の人々の「民度」や「マナー」を問題視したりしても、何の解決にもならない。ネットやSNSでは「外国人観光客の受け入れ制限」を訴える声もよく聞かれるが、日本にとって得策とはいえない。
もはや訪日観光は、輸出に相当する外貨獲得手段として、自動車産業に次ぐ規模の「基幹産業」となっているからだ。
観光客を排斥すれば、地域の宿泊業や飲食業、小売業などサービス産業への打撃につながる。「いや、外国人観光客が減ってもその分、日本人観光客が増えるので問題ない」と言う人もいるが、それはあまりにも「日本の現実」を十分に踏まえていない。
観光庁によれば、日本人の宿泊をともなう国内旅行の参加率(実施率)はこの10年あまり減少の一途をたどっている。しかも、日本は1年間で約90万人が消えていく“老人国家”でもある。外国人観光客が減れば、約8兆円の旅行消費を維持することは難しい。観光業が一気に衰退し、地方経済も大打撃を受ける。
つまり、少子高齢化の日本を持続させていくためにも、「外国人観光客の数を減らす」ではなく「バランスの取れた観光」を目指していくしかないのだ。
では、どうやって観光のバランスを取っていくのか。そのヒントが、今回のデータで明らかになった「京都を訪れる中国人観光客はそれほど多くなかった」という事実である。
われわれはどうしても「外国人観光客」をひとくくりにして考えてしまう。京都は日本が誇る世界的な観光地だから、日本を訪れる外国人観光客は、皆そこを目指すと思い込んでしまう。
しかし、中国人観光客の動向を見ても分かるように、実際はそう単純ではない。日本を「謎と神秘に満ちた東洋の国」と捉え、京都に魅力を感じる外国人もいれば、アニメやマンガで日本を好きになって秋葉原に行くのを楽しみにしている外国人もいるように、観光客が「日本」に求めるものがバラバラなのだ。
なので本来はその多様なニーズを踏まえ、国が地域ごとの特色づくりを促す。そうすれば、外国人観光客は自らのニーズに応じて滞在先や周遊先を選ぶため、バランスよく分散する。
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