藤田金属の進化は、ビジネスモデルの変革や環境の整備にとどまらない。Webサイトには問い合わせ対応用のAIチャットボットやVR工場見学を導入している。
同社には問い合わせ対応専任のスタッフはおらず、営業事務のスタッフが対応していたため回答に時間を要していた。この課題を解消すべくAIチャットボットを導入した。
一次対応をAIが担うため、回答までの時間を短縮できるほか、副次的な効果もある。顧客から寄せられる焦げ付きやサビなどの相談内容をデータ化し、取扱説明書の刷新や動画コンテンツの制作に生かせるようになった。
製品を「売りっぱなし」にせず、購入後のアフターフォローを徹底することで、2個目の購入など、既存顧客との関係構築へとつなげているのだ。
「VR工場見学も、現地を訪れることが難しいお客さまにも工場の雰囲気を知ってもらうことで、つながりを持ちたいという思いがありました。これまでは“売ること”に注力していましたが、今後は“売った後”にも注力していきます」
同社は競合である新潟の鉄フライパンメーカーとのコラボ製品の製造や、電通とフェムテック製品の開発、大手スポーツメーカーであるミズノとの製品開発など、業種を超えたパートナーシップを次々と結んでいる。
毎月500万円の赤字から、世界22カ国へ販路を広げるメーカーへ。藤田金属のV字回復は、単なるヒット商品の出現による幸運ではない。
直販と小ロット受託(半OEM)を軸としたビジネスモデルの変革、外部クリエイターとの協業による「デザインとブランド価値」の創出、オープンファクトリー化による「社員のモチベーション向上と採用力強化」。そして、それら3つの改革を支えた「ほんまもん」を作るという創業以来変わらない理念――。これらが組み合わさることで、赤字の町工場は、世界で選ばれるブランドへと生まれ変わった。
自らの強みを再定義した藤田金属の歩みは、日本のものづくり中小企業が目指すべき未来のビジョンを提示している。
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「利益だけが目的なら、“ものづくり”じゃなくていい」 製造業がつまらなくなる“鉄板パターン”
「単調な作業の繰り返しで、製品の価値が分からない」──石川県「間仕切りメーカー」は、工場の環境をどう変えたのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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