政府は7月30日、2027年度予算の「概算要求基準」を閣議了解した。翌年度の予算編成を前に、各省庁が実施したい事業と予算をまとめて、8月末までに財務省に提出する。
政府は今回、通常の歳出枠とは別に「『強く豊かな日本』投資枠」を創設した。同投資枠は、予算要求時の上限金額を設けない。具体的な金額を示さない「事項要求」も認める。AIなど高市政権が重視する重点分野における官民投資を促し、国内成長の後押しや経済安全保障の強化につなげる狙いだ。
片山さつき財務大臣は「強く豊かな日本投資枠については『投資額にアッパーリミット(上限)は設けない』『青天井で要求してください』『金額が分からなければ事項名だけでも構わない』という姿勢で概算要求を作っていく」と、都内で開かれたイベントに登壇して述べた。
政府は、日本の成長戦略をどう描こうとしているのか。片山大臣が語った。
本記事は、米国のベンチャーキャピタルであるPegasus Tech Venturesが主催した「スタートアップワールドカップ2026 東京予選」(7月17日開催)の取材を基に構成したもの。
2027年度予算は、高市政権が一から編成する初の予算だ。同政権は総合経済対策として、危機管理投資・成長投資による「強い経済の実現」を掲げている。AI・半導体、データセンター、量子技術、エネルギー、コンテンツ産業などの「戦略17分野」で、2040年度までに累計370兆円以上の官民投資を想定している。強く豊かな日本投資枠は、この方針に沿った効果的な政策を推進することが目的だ。
従来の概算要求基準には、過度な歳出を抑制するための「シーリング」(天井)が定められていた。高市早苗総理大臣は7月30日、Xに「もはや『シーリング』と呼ぶべきものはありません。(略)大切なことは『財政支出の額』ではなく、その『経済成長に与える効果』であり、今後の予算編成過程においては(略)予算の中身を大胆に重点化させていきます」と投稿した。
強く豊かな日本投資枠について、片山大臣は「先端技術やイノベーションの投資をどんどん増やしてもらい、生産性を上げ、供給力を高め、日本経済を持続的な成長軌道に乗せていく試みだ」と説明した。
また同大臣は、金融業界がフロンティアAIへの対応に苦慮している状況を引き合いに出して「(われわれの取り組みが)1〜2週間かかると、またすぐ次のイノベーションが起きて、基準も変わってしまう。こちらの対応もアジャイルにしなければならない」と話し、迅速かつ柔軟な予算編成と予算執行の意義を力説した。
政府は「責任ある積極財政」を基軸にしながら、成長分野に重点的に投資する。片山大臣は「高市総理が『成長のスイッチを押して押して押しまくる』といつも言っている。その姿勢で進めたい」と意気込みを見せた。
「日本は『デフレ型、コストカット型の経済』『デフレ型、コストカット型のマインド』が長く続いて、羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく:一度の失敗に懲りて用心深くなること)ような投資傾向が続いてしまった。大きな投資計画が次から次へ出てくる最近のような状況は本当に久しぶりだ。というか、いまだかつてなかったかもしれない」(片山大臣)
片山大臣が登壇したのは、スタートアップが優勝賞金を掛けてビジネスアイデアや技術力を競い合うピッチイベント「スタートアップワールドカップ2026 東京予選」(米Pegasus Tech Ventures主催、7月17日開催)だ。同大臣は、国内大手企業やスタートアップに激励を送った。
「官民投資額で累計370兆円を掲げているが、やはり民間の資金が動かなければどうしようもない。金融機関や大企業には、スタートアップが大きく着実に伸びると気が付いてもらい、力を注いでほしい。スタートアップは、世界市場で競争し、世界の課題解決に貢献するような大きな夢を持って発展してほしい」
片山大臣は「日本には素晴らしい技術やアイデアがある。大臣室に毎日いても、もう最近はアイデアの方が降って飛び込んでくる状態で、そこに自信を持っている」と強調。「挑戦しない国には未来がない」として、スタートアップなどの挑戦者を応援する姿勢を見せた。
高市政権が掲げる経済対策、戦略17分野への投資の誘致、2027年度予算の概算要求における青天井化――こうした施策が実を結び、日本経済のさらなる成長をかなえられるか。
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