アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。
Q.将来のために、これまでの仕事を振り返って整理しておきたいです。AIに手伝ってもらうことはできますか?
AIモデルの精度が向上したことで、個人的なキャリアの棚卸しのように、その人固有の状況を詳細に把握する必要のある話題でも、一般論ではない的確な回答が得やすくなっている。
Anthropicの最上位モデル「Claude Fable 5」は、処理に時間のかかる複雑な作業を強みとする。大量の情報とユーザーの回答を踏まえ、中長期的な見通しを立てるといった用途にも適している。
Claudeの上位プラン「Max」を利用している場合、上限はあるものの、サブスクリプションの中で利用できる。「Pro」プランの場合は、追加のクレジットを購入することで使用可能だ。
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
キャリアの棚卸しといっても、最初からたくさんの情報を用意する必要はない。AIに質問してもらいながら情報を深掘りしていけばよい。
まずは、使用モデルにFable 5を選択したうえで、以下のように送信しよう。
これから私のキャリアの棚卸しをしたいので、インタビューをしてください。
進め方の希望は以下のとおりです。
すると、AIから最初の質問が返ってくる。まずは職種や業界、在籍年数といった基本的な情報に加え「日々の業務のなかで一番時間を使っていること」を聞かれた。
キャリアの棚卸し、進め方も明確でとてもやりやすいです。喜んでインタビュアーを務めます。
深掘りの起点を決めたいので、最初の質問はここからにさせてください。
現在(または直近)のお仕事について教えてください。職種・業界・在籍年数と、日々の業務のなかで一番時間を使っていることは何ですか?
肩書きよりも「実際に何をしているか」を知りたいので、ざっくばらんにで大丈夫です。ここから具体的なエピソードに掘り下げていきます。
質問に答えると「一番時間を使っている業務」として挙げたものについて掘り下げる質問が返ってきた。具体的な仕事を挙げると、それに関連したデータの提出を求められた。
資料を求められた場合、個人情報や機密情報はマスキングしたうえで渡す必要がある。その場合も、以下のように質問すればどこをどう伏せればよいか提案してもらえる。
この資料について、渡す前にマスキングした方がいい情報はありますか?どこをどう伏せればいいか教えてください。
なお、社内規程の関係で出せない資料や、すぐに確認できない資料の場合は「手元にないので、覚えている範囲で答えます」などと回答し、概要のみ伝える形でも問題ない。回答した範囲のことを踏まえて、会話を進めてもらえる。
この後、さらに回答を掘り下げる質問やそこから派生した話題についての質問が続き、成功事例や工夫した点、失敗したと感じる仕事などについて回答した。これらの回答は整った文章である必要はない。思ったことをそのまま答えていけばよい。
やりとりが長いほど内容を深掘りできるが、時間がない場合は区切りのいいところで切り上げることもできる。その場合は以下のように指示すればよい。
ここまでの内容を整理してください。あわせて、次の点もお願いします。
ここでポイントになるのが、単にこれまでの内容を要約するのではなく、正確な分析がなされていない可能性のある箇所を明確にしたうえでまとめてもらうことだ。
生成AIはユーザーに肯定的な出力を返しがちで、裏付けのないユーザーの自己申告まで実績として評価してしまう可能性がある。逆に、ユーザーが過小評価して話した部分は、そのまま控えめに受け取ってしまう場合もある。こうしたAIならではの回答のクセを踏まえて指示を出すと、より実態に近い回答が得られるようになる。
キャリアの概要
(中略)
本人が「当たり前」と言ったが、実際は強みであるもの
(1)取材冒頭で目的と読者像を共有する──相手に説明レベルの判断基準を渡す技術。「特別なことはしていない」と言われましたが、これをやらない広報は多いです。
(2)仮説をぶつけて訂正してもらう聞き方──ゼロから聞き直さず「この理解で合っていますか」と確認する手法。誰かに教わったのではなく、相手の負担への配慮から自力で編み出している点が特に評価できます。
(中略)
根拠が弱い部分・盛っている可能性がある部分
正直に指摘します。
(中略)
数字で裏付けを取るべき箇所
(1)検索システム記事のアクセスデータ──PV、読了率、他記事との比較。実数が出せなければ「通常記事の約○倍」の相対値で可。
(中略)
次回に持ち越しているテーマは、クリッピングの確認結果、SNS運用の実績、そして冒頭で触れた営業事務から広報への転職の経緯(未経験からどう転職を実現したかは、それ自体が語れるエピソードのはずです)。資料がそろったら、続きからやりましょう。
今回提出できなかった資料や、根拠が弱いと指摘された箇所など、次回に持ち越すものもまとめてくれている。相談の続きをしたい場合も、同じチャットですぐに再開できる。
筆者もClaude Fable 5のリリース直後に自身のキャリア分析を試し、想定以上に具体的で実践的な提案が得られて驚いた。
AIに渡したのは、これまでに手掛けた仕事のリストやWebサイトのURL、SNSのアクセス解析データなどだ。強みなどの分析に加え、SNSごとの方針や投稿作成用のプロンプトも作成してもらえた。さらに、今後注力していきたい領域を伝えると、中長期的な戦略を立てたうえで、定期的な「経営戦略会議」を実施することが決まった。
実践してみて感じたのは、AIに渡す情報の量が分析や提案のクオリティを大きく左右することだ。もちろん、業務上渡しても問題のない情報であることが大前提だが、情報が多ければ多いほど、自分のことを理解した回答が出力される。
なお、Claudeは音声対話でやりとりすることもできる。今回のように自分の記憶をたどりながら回答する場合、文字を入力するより音声のほうがスムーズに答えが出てくるかもしれない。
AIの分析が全てではないものの、数字的な裏付けを踏まえて分析してくれるため、自分の記憶や感覚に頼って振り返る場合に比べ、客観的な視点を入れることができる。従来の方法とはひと味違う自己分析の形として、試す価値があるといえる。
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