3店舗でのテストを経て、藤三はAI値引きを全26店舗へ広げたが、現場ですぐに受け入れられたわけではなかった。その理由について、角田氏は「作業工程の増加や、スタッフの心理的な抵抗もありました」と話す。
従来は担当者が売り場を見て値引き率を決め、そのままシールを貼っていた。AI値引きでは、その時点で残っている商品の数を確認し、商品をスキャンして在庫数を入力する工程が加わるため、作業時間は導入前よりむしろ増えたという。
これまで値引きを行ってきた店長らにとっては、新たな作業が増えた上、自分が担ってきた判断をAIに委ねることへの悔しさや葛藤も生じた。全店導入後も、しばらくはAI値引きを十分に活用していない店舗があったという。
藤三では、管理画面から各店舗が何時に何枚、何%の値引きラベルを発行したのかを確認。使っていない店舗を把握し、ミーティングを行った。また、同社では以前より、社長と専務が2週間に1度のペースで全店舗を巡回している。
その機会に、AI値引きを使っていない店舗に対し、専務らが直接、利用を促したという。現在では、ほぼ全店が決められた時間にAI値引きを行うまでに定着した。
効果は数字にも表れている。3店舗でのテストでは、値引き額と廃棄額を合わせたロスが1割以上減少。全26店舗への導入後も全店平均で11%以上減少し、夕方の売り上げも増えたという。
AI値引きが現場に定着すると、決められた時間に同じ手順で作業するだけでよくなり、店長などの社員だけでなく、アルバイトスタッフにも値引き作業を任せられるようになった。
また、値引き率をAIの提案を基準に決めることで、店長らが「自分の判断で商品を売れ残らせてしまった」と悩むケースも減り、精神的な負担の軽減にもつながったという。
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