生成AIを中心とする最新技術の活用と、ビジネスモデルの変革についても話を向けた。インフラ構築を主業としてきた同社にとって、AIによる自動化の波はどのような影響をもたらすのか。
「社内業務やワークフローへのAI活用は当然進めていますが、経営層がよく口にする『AI導入のROI(投資対効果)を出せ』という議論には、疑問を感じています。現段階で明確な数字は出ないのが現実です。しかし『投資効果が見えないからやめる』のではなく『やり続けなければ効果は出ない』と割り切って投資を継続することが、重要だと考えています」
同社が描くのは、技術の「ハイブリッド化」による収益力の極大化だ。熟練エンジニアの高度な手腕が求められるネットワーク設計・構築においては、その専門的価値を前面に出す。一方で、定型的なネットワークの運用・保守領域にはAIや自動化技術を徹底投入して品質を高めつつ、コストを削ぎ落とし、利益率を上げる二段構えの戦略をとる。
リーダーとしての信念を問うと、田中COOは力強く語った。
「社員が挑戦することを認め、自らは仮説を立てて『方向はこっちだ!』と大声で叫ぶことです。SCSKとの統合という新たな環境においても、私は社員たちに『堂々と仕事をしてきなさい』と伝えています」
以上が田中COOへのインタビュー内容だ。「数年後に『あの人はどこの会社の出身だ』という会話が社内から消えたとしたら、その時こそが、統合が成功した証だと思っています」──。
旧世代がいつか退くときを見据え、次世代のリーダーたちにPMIを委ねる覚悟を決めた田中COO。“独立系インフラベンダー”の誇りを胸に、SCSKという巨大な組織へと飛び込んだ同社の挑戦は、文化の異なるM&Aに悩む多くの日本企業にとって、極めて重要な処方箋となるはずだ。
2023年MM総研入社。PC・サーバ・通信機器をはじめとするITインフラ機器の市場動向および運用管理など周辺ビジネスの調査・分析を担当。併せて、GIGAスクール構想をはじめとする教育DX領域、法人市場におけるAI・ソフトウェア利活用といった最新トレンドの研究・発信を幅広く手掛けている。
AIを使いたいが、社内に詳しい人がいない。そこからの1年でした。AI担当を募ると36人が挙手し、非エンジニアの社員がAIに相談しながら自分で業務を自動化。全社に広がり、年間2247時間を削減しました。特別なデータ整備は必要ありませんでした。何から始め、どう広げたのかをお話しします。
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