今回の調査委員会による報告書で私が注目したのは、経営層による直接の指示や関与は確認されなかった、という点だ。その一方で、不健全な状態が形成・定着した理由として、
「業績目標の達成、コスト低減、納期順守、供給継続等のプレッシャーの下、顧客要求等の順守や品質保証プロセスの一部が事業上の要請に劣後する状態」
と分析している。
つまり、役員などが具体的に「不正をやれ」と指示したわけではない。しかし、業績目標の達成を強く求める企業風土のもと、現場は「何が何でも達成しなければならない」という強いプレッシャー(空気)を感じ取り、判断を歪ませていったということだ。
ここで誤解してほしくないのは、目標が高いこと自体は決して悪ではない点だ。
実際にニデックは、精密小型モーターで世界トップ級のシェアを誇るだけでなく、EVやAIデータセンター向けの水冷技術など、新たな成長分野を自ら切り拓いてきた。それだけの技術力と将来性を持った企業であり、厳しい目標に挑み続けてきたからこそ、数々のイノベーションが生まれてきたのも事実だ。それだけに今回の問題は実に惜しまれる。
問題は、目標の高さではない。その目標が本当に達成可能かどうかを、きちんと検証するプロセスが機能していたかどうかである。健全な検証があれば、たとえ難しい目標でも、全く別の視点から解決策を探ろうとする力が働く。
しかし、検証を怠ったまま「なんとかしろ」という圧力だけが現場に降りてくると、話は変わってくる。新しい発想で乗り越える前に、「不健全な抜け道」で目標を達成できることを、現場が知ってしまうのだ。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
プルデンシャル生命でまた不祥事……営業自粛の裏で続いた詐取、なぜ「不正」は根絶できないのか
「あの時気付いていれば……」 モンスター社員を面接で見抜く、たった一つの重要質問
ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由
サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング