「指示はなかった」のになぜ不正は起きるのか ニデック報告書から考える「組織の空気」問題の根深さ「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/3 ページ)

» 2026年09月14日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]
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「風通しの良い職場へ」という掛け声は意味がない

 厄介なのは、一度不健全な抜け道を知ると、次からも同じ選択肢が頭によぎるようになる。健全な発想で困難にチャレンジする文化と、抜け道で帳尻を合わせる文化は、相容れない。じわじわと入れ替わっていく。そしてある時点から、抜け道に頼ることが「当たり前」になり、誰も疑問を持たなくなるのだ。

 健全な組織文化があるところにこそ、健全なイノベーションは宿る。不健全な文化が根付いた組織では、いくら困難な目標を掲げても、行き着く先は抜け道でしかない。

 不正が発覚するたびに、多くの企業は「意識改革」や「風通しの良い職場づくり」を掲げる。しかし、そうした掛け声だけで、根付いた空気はそう簡単に変わることはない。

 組織の空気とは、日々の目標設定や評価基準、経営陣の一挙手一投足から、社員が無意識に読み取っていくものだ。したがって変えるべきは、掛け声ではなく、目標をどう検証し、どう評価するかという仕組みなのだ。

 かなり地道な作業になるが、次の3点が欠かせないと私は考える。

  1. 目標の達成可能性を、設定段階できちんと検証する仕組みをつくる
  2. 現場が「言いにくいこと」を上げられる仕組みを、形だけでなく実質的に機能させる
  3. 経営層自身が、率先して基準や判断を見える化する

 一つ一つは地味な取り組みだ。だが、このような積み重ねなくして「空気」は変わらない。制度をどれだけ整えても、長年にわたって培われてきた価値観が変わらなければ、同じことが繰り返されてしまう。

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