「AIっぽさ丸出し」の画像から脱却せよ 実際にチラシを作ってみた【プロンプト紹介】その悩み、生成AIが解決

» 2026年09月15日 06時00分 公開
[酒井麻里子ITmedia]

連載:その悩み、生成AIが解決

アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。

Q.AIでチラシを作ると「いかにもAI」という雰囲気になります。AIっぽさを解消するには、どんな工夫をすればいいですか?

 AI画像を使ったチラシやポスターなどを目にする機会が増え「AI製ばかりでつまらない」「AI丸出しはダサい」といった声も耳にするようになった。一目でAI製と分かる画像には、共通する点がある。裏を返せば、それらを意図的に避ければ「AIっぽさ」は解消できる。今回の記事では、その手順を紹介する。

著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)

ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。


「AIっぽさ丸出し」の画像から脱却 実際のプロンプト紹介

 今回は、自分で撮影した料理写真を使い、料理教室の告知チラシを制作していく。画像生成にはGeminiを、文字入れの作業にはデザインツールのCanvaを使う。

元写真(以下、筆者提供)

 指示をするときにまず重要になるのが、AI画像の「AIっぽさ」を言語化し、それを禁止事項として明確に伝えることだ。また、せっかく自分で撮った写真を用意しても、AIが過剰に加工してしまい、不自然さが目立つことも起こりがちだ。文字についても、AIで入れると細かい調整がしづらいので、後から手作業で追加するほうが確実だ。

AIに丸投げして作ったチラシ。プロンプトを工夫すると「AIっぽさ」を減らすことができる

 そこで、チラシで使う写真を渡したうえで、以下のように指示する。

プロンプト

添付した料理写真を使って「秋のアヒージョ料理教室」のA4縦型チラシに使うベースビジュアルを作成してください。

完成したチラシではなく、後からCanvaで文字やロゴを配置するための「文字入れ前の画像」を作ってください。

【元写真について】

- 添付した料理写真は、実際の料理の写真です。アヒージョ、スキレット、パンの見た目は変えないでください。

- 食材の追加・削除、形の変更、盛り付けの変更はしないでください。エビ、ブロッコリー、マッシュルームなどの数や位置関係も、できるだけ元写真の印象を保ってください。

- 料理を「より豪華に」「より映える」ように作り変える必要はありません。過度な湯気、光沢、照り、演出も不要です。

- 写真の見やすさを整える範囲での補正は行ってください。具体的には、やや明るすぎる印象を抑え、白飛び気味の部分を落ち着かせ、色味を自然に整えてください。

- 明るさ、ハイライト、色味、コントラストの補正はして構いませんが、料理そのものが別物に見えるような加工は避けてください。

- 補正後も、実物に近い自然な見え方を保ってください。

【構図】

- A4縦型を想定してください。

- 料理写真は下半分を中心に配置してください。

- 上部にはタイトルと短い説明文を配置できる広い余白を残してください。

- 下部または右下にも、日時、場所、参加費、申込方法を置くためのスペースを確保してください。

【デザイン】

- 秋らしい、落ち着いた料理教室の雰囲気にしてください。

- 自然な木の質感や、ベージュ、ブラウン、落ち着いたオレンジ系を基調にしてください。

- 家庭的で温かみはあるものの、過度に演出された広告写真にはしないでください。

- CGのような光沢、過度な発光、強すぎる逆光、過剰なボケ、派手なグラデーション、キラキラした粒子は避けてください。

- 装飾を増やしすぎず、余白を生かしたシンプルなデザインにしてください。

【重要】

- 文字、数字、ロゴ、記号、意味のない疑似文字は一切入れないでください。

- 文字を入れる場所は空白のまま残してください。

 料理の内容を変えないこと、演出を加えすぎないことを明示したことで、落ち着いた雰囲気に仕上がった。

出力画像

 ただし「写真を加工しない」と指示をしたが故に、元写真でパンの下に敷いていたアルミホイルがそのままになっていて見栄えがよくない。スキレット(小型フライパン)が直にテーブルに置かれているのも不自然だ。また、背景に散りばめられたドングリや落ち葉に「AIっぽさ」を感じるので、これは削除する方向とした。

 以上の内容を踏まえて、Geminiに追加指示をする。

プロンプト

- パンの下のアルミホイルを木製プレートに変えてください。

- スキレットの下に鍋敷きを置いてください。

- アヒージョ、スキレット、パンの数や形、料理の内容は変えないでください。

- 文字、数字、ロゴは追加しないでください。

- 落ち葉やドングリなど、直接的な「秋らしさ」の表現は使わないでください。秋らしさは、木の質感や落ち着いた暖色のトーンで自然に表現してください。

- 上部の余白を少しだけ狭くして、料理がもう少し大きく見えるようにしてください。

 AI画像にありがちな不自然さが解消され、テーブルセッティクングをして撮影した写真のような印象になった。ただし、全体的にかなりシンプルな仕上がりなので、好みに応じて周囲にちりばめた落ち葉などの演出はある程度残す選択もありだろう。

出力画像

「AIっぽさ」の排除を目指すと工数は増える 使い分けが重要

 ここからは、手作業で文字を入れる作業を進めていく。デザインに自信がないと、色やフォントの選択で悩んで作業が進まないといったことも起こりがちだ。その場合は、フォントの種類や色などの選定もAIに頼るとよい。

 画像生成に使ったチャットで、全体の印象やどんな文字を入れるかを伝えて、以下のように質問する。AIが文字入り画像を出力してしまうのを防ぐため「画像に直接文字を入れない」ことを明確に指示しておくとよい。

プロンプト

この画像に「タイトル」「短い説明文」「日時・場所などの情報などの詳細情報」の文字を、Canvaで追加します。暖かみがあり、親しみやすい印象にしたいと思っています。

チラシの雰囲気に合ったフォントの種類と色、配置を提案してください。

文字は私がCanvaを使って手作業で行うので、画像に直接文字を入れないでください。チャット上でテキストで回答してください。

 ここでは「ベース色」「アクセント色」それぞれのカラーコードと、タイトル、説明文、詳細情報それぞれに使うフォント、どの文字要素をどこに配置するかの提案が返ってきた。あとは、この提案を参考にしながら、Canva上で文字を入れる作業を進めればよい。

 さらに、自分で作業した後の「添削」をAIにしてもらうことも可能だ。一通りの文字を入れたら、作業中のCanva画面のスクリーンショットを撮って「よりよい仕上がりにするために、修正すべきところはありますか?」と質問すればよい。文字のサイズや配置の微調整や色のコントラストなどについて、具体的なアドバイスが返ってくる。

AIに細かい指示を出し、完成したチラシ

 画像の「AIっぽさ」の排除を目指すと、丸投げで作る場合に比べ、どうしても工数が必要になる。どちらが良い・悪いという話ではなく、適切に使い分けることが大切だ。

 例えば、社内での情報共有を目的とした掲示物などであれば、必要な情報が正確に記載されていれば、AI丸投げで作ったものでも問題ないだろう。そもそも画像生成AIのなかった時代、この手の掲示物は文字だけの質素なものが大半だった。それが以前より見栄えよく仕上がるのだから、AIっぽさが残ったとしても十分だろう。

 一方で、商品販売や集客を目的としたチラシのように、直接顧客の目に触れ、制作物の印象がビジネスの結果に影響するようなものは、今回のように手間をかける価値がある。制作手段の選択肢が広がったからこそ、目的にあわせた適切な選択をすることがより重要になっている。

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