変革の財務経理

「経理がAI活用なんて、無理」→「作業を99%効率化」 JBCCグループ経理の新リース会計対応でおきた“意識改革”(2/2 ページ)

» 2026年09月17日 11時30分 公開
[中根ほづ美ITmedia]
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成功を引き寄せた「3つのポイント」

 完成したシステムにより、1件当たり3時間かかっていた判定作業は2分へと短縮された。プロジェクトのメンバーである会計管理 連結会計Gの中島桃子氏も「新基準への対応は、本来であれば契約書の読み込みから判定まで多大な時間がかかる複雑な業務です。今となっては、AIなしでは考えられません」と話す。

 経理業務においてAIを活用する際、懸念されるのが正確性や監査法人とのすり合わせだ。しかし、この点もスムーズにクリアできたという。

 「AIが出力する結果は、契約書の文言と会計論点をリンクさせ、根拠となる証跡をしっかり提示する仕組みにしています。透明性が高く、最終的な判断は人が行うプロセスであることを説明したところ、監査法人とも運用方針の認識を共有できました」(星田氏)

 プロジェクトを経て、新基準への対応のポイントについて、中島氏は次のように整理する。

 「ポイントは3つあると考えます。1つ目は、自社にどのようなリースがあるか、早い段階で現状を把握すること。2つ目はAIやシステムのサポートを積極的に活用すること。そして3つ目は、会計知識、社内事情の把握、他部署とのコネクションなど、多様な強みを持つメンバーでチームを編成することです」

photo03 計画管理 会計管理 連結会計G 中島桃子氏(編集部撮影)

「AI中心」の業務設計へ 自発的活用を生む組織カルチャーの醸成

 このプロジェクトがもたらしたものは、新基準への対応や業務効率化にとどまらない。同社の経理財務機能における「意識改革」だ。

 「経理財務は『間違えられない』という側面が強い業務です。そのため、当初、私がAIを活用しようと提案したときも、メンバーは皆『そんなの無理でしょう』と後ろ向きでした。しかし、新リースの判定システムができあがってからは、部内の思考が180度変わりました」(星田氏)

 証跡を提示し、正確に業務をこなすAIの姿を目の当たりにしたことで「人が中心」だった業務プロセスから「AIを中心に据えたらどうなるか」という思考へシフトしたのだ。

 現在では、計画管理チームの至るところで自発的なAI活用が進んでいる。例えば、他社分析においては、上場IT企業100社の有価証券報告書をAIに読み込ませ、自社のポジションをダッシュボードで視覚化して経営層への説明に生かしている。計画管理チームでは、今期は「1人1つ、AIエージェントを作る」という目標を掲げている。

JBCCグループが描く、経理AI活用の次なるステージ

 同社の経理財務業務におけるAI活用は、さらに「次のステップ」に進みつつある。

 「今はまだ、人がAIに問いかけて働いてもらうという使い方が中心です。しかし今後は、AIが自発的に動いてくれるような活用を目指しています」(中島氏)

 現在検討している具体例の一つが、AIによる「リスクの自動検知」だ。例えば、社内で決裁される稟議書が格納されたフォルダをAIが自らパトロールし、会計上の論点になりそうなリスクを検知して経理担当者に通知する機能などを構想中だ。もちろん、ここでも「最終的に判断するのは人」という大前提は揺るがない。

 新リース会計基準への対応についても、手動で契約書を読み込ませるのではなく、判定結果が自動で通知される仕組みを既存ワークフローへ組み込む検討を進めている。

 AIを味方につけ、「自律型AI」の領域へと足を踏み入れようとしている同社の挑戦は、変革を迫られる多くのバックオフィス部門にとっての指標になりそうだ。

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