食品メーカーと小売業の間に立ち、商品や受発注、在庫、物流などの情報を扱う食品卸。膨大な量のデータが日々積み上がる中、いかにAIを掛け合わて業務変革につなげるかが課題となっている。
三菱食品(東京都文京区)は、2030年度を最終年度とする経営計画「MS Vision 2030」に基づいてデータとAIを活用した業務改革を進めている。2023年からビッグデータ管理・分析サービスの「Snowflake」(スノーフレーク)を導入し、AIが社内の用語や業務の意味を理解できるようにする「コンテキストレイヤー」の整備に取り組む。
さらに、自社だけでなく食品サプライチェーン全体の効率化を目指し、日清食品との協業も進めている。AIを活用した発注最適化では、配送に必要なトラック台数を約30%削減できると試算するなど、成果も見え始めている。
本記事は米Snowflake主催イベント「Snowflake World Tour Tokyo 2026」におけるセッション「データとAIで創る食品流通の未来〜三菱食品が挑む、AI-Ready化とデータ戦略の具体的な取組〜」を基に構成。
2024年に創業100年を迎えた三菱食品。2026年3月期の売上高は約2兆1000億円、連結従業員数は約5200人に上る。加工食品、低温食品、酒類、菓子などの卸売を主な事業としている。
「食品メーカーと小売りをつなぎ、商品、需給、在庫、物流といった食品流通に関わる膨大な情報が日々集まる。(三菱食品は)いわば食のライフラインを支えるハブ機能を担っている」
同社CIO(最高情報責任者)の石崎智晴氏(崎は正しくは「たつさき」)は、食品サプライチェーンにおける自社の位置付けをこう語る。取引先は食品メーカー約6500社、小売業や外食など約3000社(16万店舗)に及ぶ。同社が処理する取引伝票は1日約300万件、年間約12億件に達するという。
この事業基盤を生かし、同社は自社の業務効率化だけでなく、食品サプライチェーン全体の変革を目指している。
MS Vision 2030では、デジタル活用を通じて、新たなビジネスモデル構築による需要の創造、業務効率化・生産性向上、サプライチェーン機能の強化を目指す。
石崎氏は、食品メーカーには「製造」、小売業には「消費者との接点」という、それぞれの強みがあると説明し、食品卸としての価値を問い直す。
「食品メーカー、商品、小売り、店舗。その間を流れる受発注、在庫、物流、販売。こうしたデータを日々、業界横断的に扱っている会社はそう多くはない」
そこで同社は、データをつなぐ力、予測する力、サプライチェーンを最適化する力、AIで実行する力――の4つに投資を集中させている。
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