では、これらの実験結果から、ビジネスについて何が言えるのか。「会議で活発に話せる」といった目立つ能力だけでなく、長時間の作業での集中力や見落としまで含めて評価すべきだということだ。「元気に働いている印象」をそのまま成果の証拠にしてはならない。
実際にビジネスパーソンを対象にした実験では、どのような結果が出ているのだろうか。筑波大学の2025年の研究では、日本の就労者7万9048人のデータを分析し、スマートフォンアプリで推定した睡眠時間と、本人が回答した仕事のパフォーマンスを比較した。
この研究では、睡眠が短すぎる側と長すぎる側の双方で仕事の生産性損失に大きな関連が見られた。7〜8時間付近の睡眠で損失が最も小さかったという。
さらに、睡眠の「質」や「規則性」も、生産性と関係していることが分かった。寝つきの悪さ、途中で目が覚めること、平日と休日の睡眠時刻のズレも、生産性の低下と関連していた。
もっとも、生産性というのは自己評価であり、観察研究でもあるため、因果関係は100%確定できるわけではない。要は、「長く寝るから仕事ができない」とも「誰でも7〜8時間寝れば最適」とも言い切れない。「ショートよりロングのほうが優秀」という逆方向の単純化もデータには合わない。
結局のところ、必要なのは睡眠の「最大化」ではなく、本人に合った量や質、規則性を確保することだろう。
1200体のAIが「群れ」で暴走 なぜ想定を超える“協調”が起きたのか
世界では大人気なのに……日本のバイク市場はなぜ過去最低なのか
「よく眠ること」が競争力になる? 企業を変えるスリープテックの現在地
「AI社員」がビジネスを変える? 便利さの裏にある“新たな脅威”
「顔認証」はどこまで進むのか 700億枚データと日本の現在地Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング