筆者の周りでは、多忙のために毎日の睡眠時間が4〜5時間ほどという人も少なくないが、筆者も「短眠者には使える時間が多いという利点があるのではないか」と漠然と思ってきた。確かに、能力や健康状態、1時間当たりの仕事の成果が同じだとすれば、5時間の睡眠で足りる人は、9時間必要な人より、単純計算で1日4時間多く活動できる。
ただし、それは時間配分上の利点であって、仕事での「成功」が実証されたという意味ではない。実際、1時間当たりの生産性が高いことと、1日全体の成果が大きいことは別の話だ。
こんな実験がある。インドの低所得層の成人452人にデータ入力の仕事をしてもらい、睡眠が仕事の効率や収入にどう影響するかを調べた研究だ。
昼寝をすると、仕事の効率は上がった。だが昼寝をせずに働いた場合と比べると、働く時間が短くなるため、1日の収入は減る。一方、同じ時間を休憩に使う場合と比べれば、昼寝をしたほうが収入は増えた。
また、夜の睡眠を平均27分増やしても、仕事の効率改善は明確に確認できなかった。ただし、参加者の夜の睡眠は、途中で何度も目が覚めるなど、質に問題があった点には注意が必要だ。
この研究が示唆するのは、「睡眠を削ればよい」ということではない。「長く寝れば、その分だけ仕事の成果も増える」とも限らず、睡眠の質や仕事の内容、休む時間と働く時間の配分を併せて考える必要がある。
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