では、なぜ国内の出店を、旗艦店にシフトしていこうとしているのでしょうか。ユニクロの国内店舗数の推移を見ると、そこに一つの特徴が見て取れます。
ユニクロの出店が始まったのは1984年です。それから8年後の1992年度末時点で55店舗まで拡大しました。
当時の出店立地は郊外。ロードサイドに、1階が駐車場、2階を店舗とするピロティ方式を採用。敷地が狭くても150坪ほどの店舗を出店できるような工夫をしていました。
その後、1998年に東京・原宿の路面店を出店し、フリースブームを巻き起こした頃から、都心への出店が強化されていきました。2013年度末には834店舗まで店舗数を増やします。ここがユニクロ店舗数のピークです。ここを境に国内のユニクロは年々店舗数を減少させ、2025年度末時点では784店舗と、ピーク時よりも50店舗も減っています。
ユニクロは順調に売り上げを伸ばしているため、店舗数も増えていると思っていましたが、実は店舗を減らしていたのです。
2020年度のコロナ禍前後からのユニクロの国内外の売り上げと店舗数、従業員数などを細かく見ると、ある事実が浮かび上がります。
すでにユニクロは国内よりも海外での売り上げが高いブランドになっているのですが、海外店舗の2025年度と2020年度のデータを比較すると、店舗数は119.9%に対して売り上げは226.4%となっています。店舗数以上に大きく売り上げを伸ばしたのがユニクロの海外店舗なのです。国内の店舗数は2020年度比で102.2%、売り上げは127.2%。国内も店舗数以上に売り上げは伸びていますが、海外とはかなり大きな開きがあります。
これをいくつかの生産性指標で比較してみました。
売り上げの伸びでは海外が国内を引き離していますが、国内ユニクロの1店舗当たりの売り上げは13億900万円と海外ユニクロを2億円以上も上回っています。売り上げ、利益ともに生産性が高いのは国内店舗なのです。1店舗当たりの売り場面積はほぼ増えていないのに対して、売り上げと利益は伸びています。また、従業員1人当たりの売り場面積も年々増加し、人員数を減少させながら1人当たりの守備範囲を広げるという効率的な店舗運営スタイルに変化させています。
ユニクロはこの10年ほどでセルフレジの導入や人員配置の見直し、在庫効率の改善など生産性の向上に取り組んできました。この効率的なオペレーションを維持しつつ大型の旗艦店が新たに加われば、1店舗当たりの売り上げと営業利益を大きく伸ばすことができ、ユニクロ全体の業績伸長につながることが予測できます。これが国内旗艦店を倍増させる狙いの一つです。
ユニクロは2026年度上期の店舗別売上トップ10を発表しています。
実はトップ10のうち3店舗は日本の国内店舗で、世界一の売り上げは都内にあるユニクロ銀座店です。これを見ると、やはり日本は効率的に売り上げを伸ばせる可能性が高いエリアと言えます。
そのためユニクロは、ファーストリテイリング社の悲願である売上高10兆円、世界一のアパレル企業になるための策として、国内の旗艦店を倍増させようとしているのです。
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