AIがもたらした「半導体」の進化 光電融合、HBM、新トランジスタ――果てなき性能向上、どうかなえる?:『図解で深掘る きちんとわかる 半導体』(2/2 ページ)

» 2026年09月30日 07時00分 公開
[ずーぼ,ITmedia]
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NTTも注力 夢の省エネ技術「光電融合技術」の可能性

 AIの加速度的な普及によって、データセンターの消費電力増大は地球規模の課題となっています。なぜこれほどまでに電力が必要なのでしょうか。

 それは、AIモデルの学習や推論において、GPUが膨大な行列演算を24時間体制で行い続けるためです。

 さらに、演算性能の向上に伴い、サーバ内の熱を逃がすための空調や液冷システムである冷却装置を動かすためにも多大なエネルギーが割かれています。

 国際エネルギー機関(IEA)が2025年4月に公表した予測によれば、世界のデータセンターの電力消費量は2030年までに倍増し、およそ945テラワット時(TWh)に達する見込みです。これは、現在の日本の総電力消費量を上回る規模です。特にAI専用データセンターの電力需要は、2030年までに4倍以上に増加するとされています。

 このエネルギー危機を打破する究極の省エネ技術の一つが、電気信号を光信号に置き換える「光電融合技術」です。

 現在のコンピューティングは、チップ間のデータ伝送を銅などの金属配線の中を通る電子で行っていますが、これには電気抵抗による発熱と信号劣化という物理的な限界があります。

 この課題に対し、例えばNTTが提唱する「IOWN構想」では、通信から計算基盤までを光でつなぐ次世代ネットワークを目指しています。IOWN構想の核心は、ネットワークの末端まで光を届ける「APN」(All-Photonics Network)にあります。

 従来の通信設備では、光ファイバーを通ってきた光信号を一度電気信号に変換して処理し、再び光に戻す変換が必要で、これが大きな電力ロスと遅延を生んでいました。IOWN構想では、この変換を排除し、情報の伝送と一部の処理を光のまま行うことで、電力効率を従来の100倍、伝送容量を125倍、遅延を200分の1に改善することを目指しています。

 これを実現するカギが、シリコン基板上に化合物半導体を集積する「シリコンフォトニクス技術」です。ボード間の光接続から始まり、次にパッケージ内に光インタフェースを取り込むCPO(Co-Packaged Optics)、最終的にはチップ内部まで光接続を広げる計画です。光電融合は、単なる技術革新を超え、デジタル社会をより持続可能なものへとアップデートするカギとなります。

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著者:ずーぼ

 半導体プロセスエンジニア。現在は半導体工場で働きながら、半導体業界の情報をブログ、YouTubeで発信する。YouTube「半導体業界ドットコムch」は登録者数2万人を超える。


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