――チェーンストア経営の基本は標準化であり、例外を許さないという考え方です。一方で星野リゾートのように、現場を最もよく知る従業員に権限を委ねる経営もあります。本部による統制と現場の裁量のバランスを、どう考えていますか。
青木: 原理原則や決め事、つまり「ここから先はダメ」「ここまではやろう」という規律は、あって当然です。チェーンストアで何を統一すべきかについては、標準化、単純化、専門化の「3S」を徹底することが基本とされています。ファッションで言えば、売り場の陳列面の数(フェイス数)とオペレーションを押さえればよいのです。例えば商品のデザインが変わっても、オペレーションには全く関係ありません。
スターバックスは1店舗ごとに店舗デザインが異なりますが、オペレーションや提供するサービスの内容は全く変わりません。チェーンストアはどこも同じ顔の「金太郎あめ」だと思われがちですが、スターバックスを見れば金太郎あめではないですよね。オペレーションなど絶対に統一すべきものは統一しながら、そこにプラスアルファを加える。例えば、高価格帯の商品を購入する顧客が多い店舗なら、そこを厚くする。基本形を作りながら、地域性を加えていくのです。
チェーンストア理論は「全く同じ店を作れ」と教えているわけではないと、私は捉えています。スーツ屋だけを続けていれば、スーツの形をひたすら探求していくことになります。当社は、チェーンストアの原理原則をベースに、サービス事業でもやってみようと考えました。ウェディングはチェーンストアではなく、式場1つ1つが違います。それでも、オペレーションや人員配置、分配率といった原理原則で見れば、判断はそれほどぶれません。
立川: 経営資料については、チェーンストア経営の研究団体「ペガサスクラブ」の考え方に基づき、ファッション、エンターテイメント、ブライダルの各事業を同じ軸で管理しています。例えば、人件費が原価に入る事業もあれば、当社のファッション事業のように販売管理費に入る事業もあります。それを置き換えて同じ軸にそろえ、正しく経営を見ることを、月単位、週単位で続けています。判断の指標が同じなので、経営判断の軸がぶれない。これが当社の強みの1つです。
――チェーンストア経営は、どれだけ投資できるかの勝負だという見方もあります。実際にそういうものなのでしょうか。
青木: 投資といっても、賢い投資です。無鉄砲な投資は良くありません。勝ち筋を見いだすための投資です。そのために、さまざまな店舗のデータを集めて勝ち筋を見極め「これで次に行けるのではないか」と判断したところに投資する。そういう考え方だと思います。
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