需要が消え、設備が老い、人が減る――西武鉄道、144両更新の裏側 「大手なのに恥ずかしい」を受け入れたワケは(3/3 ページ)

» 2026年10月15日 07時00分 公開
[平 行男,ITmedia]
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日立が挑む車両更新 四半世紀前になかった技術を投入

 車両の里帰りを受け入れる日立製作所にとっても新しい挑戦だ。同社の岩崎充雄氏(理事 鉄道ビジネスユニット Head of Japan Business)は「25年たった車両に立ち向かったことは、おそらく過去に1度もない。これまでは自分たちが設計した車両が25年後にどうなるのかを、設計上でしか語れなかった」と述べ、改造を担う事業部を新設して臨む。

photo 日立製作所の岩崎充雄氏(撮影:筆者)

 日立製作所が描くのは、傷んだ箇所を手当てして寿命を延ばす従来の更新工事とは異なるモデルだ。車両の3Dモデルや部品表(BOM)、画像といった情報をデジタル化して西武鉄道に渡し、電機品のオンラインモニタリングや劣化センサーなど四半世紀前にはなかった技術を載せる。

 取得したデータは、同社が掲げるインフラ管理モデル「HMAX」を通じて月次検査や部品調達、車両の投資計画に生かすことを目指す。「将来にわたって車両を生かし続けるための土台を作るのが、われわれの車両改造だ」と岩崎氏は語る。

photo 改造を「価値創造モデル」へ広げる考え方(出所:日立製作所の講演資料)

 両社は、独創と協創の領域も線引きする。岩崎氏は「鉄道の運行やサービス、ブランド、沿線価値は西武鉄道がつくるところ。われわれが参画したいのは車両のメンテナンスや改造・更新、部品の共通化・標準化だ」と述べる。

 西武鉄道側も、サステナ車両の改造で蓄積した知見を持ち込む。町田氏は「単なる改造ではなく、20000系をベースに新しい世代の電車を作る。将来に向けた部品の共通化にも取り組みたい」と述べる。

 需要が戻らず、設備が老い、人が減る。西武鉄道はこの3つに対し、沿線価値の向上と譲受車両の活用で需要と環境に手を打ち、車両更新では自前とアウトソースの範囲を切り分けた。20000系が笠戸から戻る2028年から、その判断の答え合わせが始まる。

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