経済産業省、外務省、財務省は10月15日、米ニューヨーク州に半導体製造工場を新設するプロジェクトを発表した。事業総額は最大210億ドル(約3兆3000億円)に上る。新工場は、半導体の受託製造を手掛ける米GlobalFoundriesが運営する。日本からは東京エレクトロン(TEL)が建設に協力する他、ルネサス エレクトロニクスが同工場からの製品購入に関心を示している。
同プロジェクトは、日米政府が2025年9月に発表した対米投資の枠組み「戦略的投資イニシアティブ」の一環で、半導体事業としては初となる。同イニシアティブでは他に、ソフトバンクグループを軸とする企業連合が米オハイオ州でAIデータセンターの建設を進めている。
今回のプロジェクトで製造する半導体は、自動車や産業機械、通信インフラなどの用途向けだ。経産省は「半導体という経済安全保障上重要な戦略分野において、日米が協力して強靱(きょうじん)なサプライチェーンを作り上げる」と説明する。
新たな半導体工場の建設が、日本にどのような恩恵をもたらすのか。そして日本企業は、どんな商機を狙っているのか。
本プロジェクトでは、直径300ミリの大口径ウエハーを用いた半導体製造工場を建設する。ウエハーは半導体チップの土台で、その上に電子回路を形成し、四角形のチップに切り出す。大口径のウエハーを使うことで、一度に大量のチップを製造できる。
まずは約100億ドル(約1兆6000億円)を投じて1棟目の工場を建設する。建設地は、GlobalFoundriesがニューヨーク州マルタに有する土地で、必要な許認可を取得済みのため、工期短縮が見込めるという。2026年内に着工し、2029年の稼働を予定している。完全稼働時には、300ミリウエハー換算で年間90万枚の製造能力を見込んでいる。
設備を増強するため、約100億ドルを追加投資して2棟目を建設する可能性がある。追加分も合算すると、本プロジェクトの投資額は最大210億ドルになる。
半導体サプライチェーンは特定の国・地域に集中しており、戦争などの地政学リスクや自然災害のリスクを無視できない。半導体が経済安全保障上の戦略物資となる中、米国に半導体工場を新設することで、日米双方における半導体供給網の強靭化につなげる狙いがある。
GlobalFoundriesは、日本企業にとってもメリットがあると説明する。「米国内で事業を展開する日本企業の供給基盤を強化します。米国内に生産・組み立て拠点を持つ日本の自動車メーカーや電機メーカーなどは、米国内での安定した半導体供給網を通じて、現地サプライチェーンをより強固なものにできる」(GlobalFoundries)
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