まず「売り手の交渉力」です。冒頭の河内長野市の事例を、ファイブフォースで読み解くとどう見えるでしょうか。
自治体がコンサルティング会社に計画策定を委託する関係において、コンサルティング会社は「売り手」、自治体は「買い手」です。売り手が買い手より交渉力を持つとき、委託費用は上がり、自治体の選択肢は狭まります。これまでコンサルティング会社が交渉力を持っていた理由は、計画策定に必要な専門的ノウハウがコンサル側にあり、自治体側にはなかったからです。
しかし、AIがそのノウハウの一部を代替し始めました。西野市長が「コンサルティング会社も生成AIを活用した作成物を戻してくる」と指摘している通り、コンサルの付加価値の一部は既にAIで生成された成果物で占められるようになっています。であれば、自治体自身がAIを使えば、同じことができるのではないか――。それが「脱コンサル」の論理です。
ポーターの用語でいえば、これは「川上統合」に相当します。買い手が、これまで売り手に委託していた機能を自ら取り込むことで、売り手の交渉力を低下させる動きです。自治体がAIを「使いこなす」ことで、コンサルティング会社という売り手の交渉力が下がり、委託費用の削減や、よりよい条件での取引が可能になります。
ただし、河内長野市も「高度な助言や客観的な検証が必要な分野については引き続き外部の専門家の知見を活用する」としています。全てを内製化するわけではありません。どの領域で売り手に頼り、どの領域で自立するかを選択していくのでしょう。
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