では、ChatGPTのような汎用(はんよう)AIに任せるのではなく、なぜ専用の人事データとAIを掛け合わせる必要があるのか。佐藤氏がその理由に挙げるのは、汎用AIが決して学習できない「社外秘の一次データ」と、カオナビが持つ「圧倒的な知見」の融合だ。カオナビのAIモデルの強みは「個社性」「鮮度」「量」という3つの要素で構成されている。
まず「個社性」とは、独自の評価制度や社内アンケートなど、その企業にしか存在しない固有の文脈のこと。次に「鮮度」とは、日々の面談や1on1を通じて、社員の「やりたいこと」や「できること」といった定性情報が、常に最新の状態でアップデートされることだ。社員の異動履歴や入社の動機などは、決して社外のネット上には出回らない。このディープな一次データ(個社性と鮮度)があるからこそ、自社の実情に即した意味のある提案が生まれる。
そして最後の「量」とは、カオナビが4500社以上の支援を通じて蓄積してきた、業種や規模を超えた「人材活用の成功パターン」の膨大な知見を指す。自社内にしかない一次データ(個社性と鮮度)を、カオナビが蓄積してきた膨大な知見(量)を学習したAIが読み解く。だからこそ、汎用AIにはまねできない「自社専用の精緻な壁打ち相手」が誕生するのだ。
もちろん、他社のデータをそのままAIに利用するわけではない。それでも、多様な企業との取り組みから得た人材活用の知見が、AIの提案の質を高めるという考え方だ。そして、この知見を活用する上で鍵となるのが、生成AIとの相性だ。評価だけでなく、面談や1on1、採用面接には、文章や会話の中にしか残らない情報があるという。
「人事には、評価や面談、1on1、面接など、数値化しにくい定性情報が多い。そこに生成AIを組み合わせる意味は、大きいと思っています」(佐藤氏)
生成AIは大量の文章や会話を扱える。今後は、1on1や採用面接の音声を自動で取り込み、人事やマネジャーが手作業で入力する負担を減らすことも考えている。人事データをためるだけでなく、日々の会話までAIに使わせる構想だ。
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松尾豊東大教授が明かす 日本企業が「ChatGPTでDX」すべき理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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