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なぜ上場を捨ててまでAIに賭けたのか? カオナビが非公開化して進める「脱・勘と経験の人事」(5/6 ページ)

» 2026年10月22日 07時00分 公開
[篠原成己,ITmedia]

個人の意思決定を解き放つ「カオパス」構想

 タレントインテリジェンスの先に、佐藤氏が描くのは「HR領域の意思決定の民主化」だ。企業に所属していると、自分のキャリアについて見える範囲にはどうしても限りがある。身近な上司や先輩のキャリアを参考にすることはできても、自分と似た経験や能力を持つ人が、ほかの企業でどんな仕事をしているのかまでは分かりにくい。

 AIが企業内の人材データと個人の情報を組み合わせれば、キャリアについてより多くの選択肢を示せる。

 「個人は自分で考えないといけませんが、これまではそのためのツールがありませんでした。企業側はそれを提供しないと、その人に残ってもらえません」(佐藤氏)

 AIが「転職したほうがいい」と提案することもあり得る。それでも、別の会社の話を聞いた結果「やはり今の会社で頑張ろう」と考えることもある。企業に残ることだけを目的にするのではなく、本人が納得して働くための選択肢を増やすという発想だ。

 その先に見据えるのが、個人のポータブルなキャリア基盤「カオパス」構想だ。社員のデータを、会社が一方的に囲い込む時代は終わった。個人が自らの適性や実績ログを自律的に管理し、社内の異動だけでなく、社外の機会とも直接接続できるようにする。

 「人材流出を恐れて情報を隠す会社」ではなく「個人のキャリア選択を支援する会社」にこそ優秀な人材が集まる。カオナビは、主権を企業から個人へ返還することで、雇用関係そのものを再定義しようとしている。

 企業側が持つ人材データや、個人の適性検査、評価などを組み合わせれば、より本人に合った出会いにつながる可能性がある。

photo インフィニットモデル (カオナビ「公式note」より)

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