中高生をターゲットにした映画『ずっと前から好きでした。』はなぜヒットしたのか(4/4 ページ)
4月23日から公開している映画『ずっと前から好きでした。〜告白実行委員会〜』は、中高生に人気のクリエイターHoneyWorksの楽曲をアニメ映画にしたもの。“中高生に届ける”ことに特化して考えられた本作をヒットさせるために何を意識したのか。アニプレックスの宣伝プロデューサー相川和也さんに聞いた。
料金の安さだけではなく、“お得感”も重要だ。公開日の4月23日には、公開初日スペシャルイベントを千葉県の幕張メッセで行った。本編の上映のみならず、出演声優の舞台挨拶や朗読劇、HoneyWorks楽曲のライブも行われた。チケットに付けた特典グッズは出演キャラクターのアクリルキーホルダー。ターゲット層が使いやすいものを、アニプレックスのグッズ開発チームと相談しながら決定した。
チケット代は6800円(税込)と、決して安くはない。しかし来場者からは「映画も見られて、ライブもあって、特典ももらえて、それであの値段はお得。元を取れた!」という反応が得られたのだという。
ライブも同時展開するこのようなイベントは、6月19日にも「大後夜祭」と称して東京国際フォーラムでも行われる。チケット代は5400円。中高生にとっては大きな出費だが、公開初日のイベントと同じく“映画もライブも楽しめるお得感”で満足してもらうことを目指す。
ターゲティングに失敗しないために心がけることは?
「ずっ好き」のようにターゲット層にピンポイントに届けることに成功するものもあれば、対象層に響かずに失敗するコンテンツや商品も多い。ターゲティングに失敗しないために必要不可欠なことは何なのだろう。
「大事なのは、自分たちが思い描いている“ターゲット”が本当に正しいのか疑うこと」
相川さんは当初、HoneyWorksのファンは“都会のど真ん中に住むクラスの中でも大人しめの中高生女子”だと思っていたのだそう。しかし実際は“郊外に住む、クラスの中心となっている中学生女子”が多いと分かった。
「都心の子はHoneyWorksを知っているかもしれないが、周辺に娯楽がたくさんあるので、ほかのコンテンツへの出費も多い。ネット発のコンテンツだと同時性があると思いがちだが、実は地域で差が相当ある」
ササっているのはどの年代なのか、どの地域で暮らしているのか、どんな人たちなのか――。徹底的にマーケティングするからこそ、届けたい層にリーチすることができるのだ。
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