2015年7月27日以前の記事
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小売りの未来のカタチは「アマゾン・ゴー」だけではない繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(3/4 ページ)

AIを活用した最先端のコンビニ「アマゾン・ゴー」が話題です。今後このような無人店舗は当たり前の小売り業態となっているでしょう。しかし、もっと別の切り口が小売業の未来には必要だと思っています。

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オーガニックとは考え方のこと

 同社の本店である学芸大学店は駅から徒歩5分程度ですが、好立地とは言えないところにあります。車通りに面していますし、わざわざ行かないと立ち寄らないようなエリアです。地元の人でもまだ知らない人がいるようなところです。当初は集客にも苦労したようですが、今では休日には数百人の来店客があるほどの人気です。

 FOOD&COMPANYは13年、白氏のパートナーである谷田部摩耶氏との2人によってスタートしました。その第1号店が学芸大学の本店です。米国留学中に知り合った2人は今の社会システムが作り出すヒト、モノ、コトの崩れたバランスに大きな違和感を持っていたそうです。

 そこで、これからを生きていくために自分たちが大切にしたい価値を大事にしようと考えたのです。大切な価値とは物質的な豊かさではなく、自分の生活を大切にすること。例えば、大事な人と丁寧に作った食事ができる心の余裕を持つということです。「そういうマインドを持った人をもっと増やしていきたいと考えて、その時に私たちにとって一番身近なものとして浮かんだのが食の小売りでした」(白氏)。

学芸大学本店。大きなガラス面と木枠がおしゃれ
学芸大学本店。大きなガラス面と木枠がおしゃれ

 世の中にはオーガニック食材の店はたくさんありますが、私が同店を良いと感じるのは、同社のオーガニックに対する明確な思いがあるところと、ファッション感覚の高さです。

 「オーガニックというのはその農法のことだけでなく、日々を丁寧に暮らす、ローカルを大事にする、つながりを大切にするといった考え方のこと」(白氏)だと言います。このような感覚をもったオーガニックのグロサリーストアは日本にはなかったのではないかと思います。米国にはホールフーズやトレーダージョーズといったスーパーマーケットが主流になってきていますが、日本ではまだこれからというのが実状です。しかしこのような考え方はこれからますます強まるでしょう。

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