パワハラは減らないどころか増えている――加害者の典型的な言い訳と、決定的な「2つの見落とし」とは:見落としがちな“心のエアポケット”(2/5 ページ)
社会的な認知度が上がっても減らないパワハラ。厚労省の発表によれば、職場でのいじめや嫌がらせは、年々増えてきている。中には被害者が自ら命を絶ってしまうケースもあるが、そんな中、被害を拡大しないために見落としてはいけない“心のエアポケット”とは?
これは、世の中の職場で「いじめ・嫌がらせ」が増えたというより、パワハラなどさまざまな嫌がらせが社会問題として認識されるようになり、意識が高まってきたことで、これまで表に出てこなかった「いじめ・嫌がらせ」が明るみに出てきたということではないかと思います。
パワハラ上司の「言い分」3パターン
法律も改正されたことで、これまで暴言や暴力などを用いた高圧的な態度で部下を押さえつけてきたパワハラ上司の存在は、企業にとって大きなリスクになったと言えます。ただ、パワハラ上司側にも言い分はあるのかもしれません。上司側の言い分として考えられるパターンを3つ挙げたいと思います。
(1)何度も失敗を繰り返すから、より厳しくなる
傍から見れば「パワハラ」と見なされる上司でも、上司からすれば、最初から厳しくしていたわけではないかもしれません。何度注意しても直さないのだから、叱責されて当然。それを放っておけば上司である自分の責任にもなる。そう考えている上司もいるはずです。
1回や2回ならまだしも、5回も10回も同じことを指摘しても失敗を繰り返す部下を見ていると、自分に反発してわざと失敗しているのではないかと思ってしまう上司もいるかもしれません。
そのうち叱責する側の上司にも徐々にストレスがたまっていき、ついつい口調が強くなったり、手が出てしまったりと次第にエスカレートしていき、ついには人格否定するような言葉を発したり、むごい仕打ちをするようになってしまう。そういうこともあるのかもしれません。
(2)甘えた根性をたたき直し、精神を鍛える
「仕事というものは、誰でも叱られながら覚えていくものだ」と考える上司もいると思います。自分もうまくできなかったころは上司から厳しく叱責された、それに比べれば自分はまだ優しい方だ――と思っている上司もいるでしょう。
さらに、今はかつて自分を叱ってくれた上司に感謝している、だから自分も愛情を持って部下を叱る、それに付いて来られないのは部下の精神力が弱いからであり、その甘えた根性をたたき直して鍛えてあげることが上司としての務めだ――と考え、厳しく接しているということもありそうです。
部下の精神が弱いから、強くするために圧力をかける。それは、同じように指導されてきた経験を持つ人にとって、正しい教え方という認識になりがちです。
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