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コロナ禍の歌舞伎町に息づく「深夜薬局」 休むことなく営業を続けた理由とは?「ニュクス薬局」のビジネスモデル【後編】(2/4 ページ)

東京・新宿の歌舞伎町で、深夜に営業している「ニュクス薬局」はコロナ禍でも休むことなく深夜の営業を続けてきた。1人で薬局を切り盛りする代表の薬剤師、中沢宏昭氏は、今後も歌舞伎町で営業を続け、一緒に働く仲間を増やしていきたいと語る。「ニュクス薬局」の今後について中沢氏に聞いた。

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コロナ禍の歌舞伎町でも通常通り営業

 ニュクス薬局の経営が軌道に乗るまでに、オープンから1年ほどかかったことは、前編で触れた。多くのメディアに取り上げられるようになったことで、「相談できる歌舞伎町の深夜薬局」として全国的にも有名になった。

 しかし、20年になると新型コロナウイルスの感染が広がりはじめ、歌舞伎町は感染が拡大する「夜の街」として名指しされる。そして、最初に緊急事態宣言が出た20年4月、歌舞伎町から人の姿が消えた。中沢氏が振り返る。

 「第1波の時の歌舞伎町は、人っ子ひとり歩いていない状況でした。人が少ないことで、逆にひったくりの犯罪が増えるなどの問題も起きました。不景気になれば犯罪も増えますよね。お客さんの多くは、自分たちの店に客が来なくて『どうしよう』と言って困っていました。

 仕事がなくなって困っている人には、生活保護の申請を勧めたこともあります。『もう店を続けるのは限界かな』と話す経営者には、国が出しているコロナ関連のセーフティネットの情報を伝えて、早めに動いた方がいいとアドバイスしました」

 ニュクス薬局も、コロナ禍で売り上げは3割以上ダウンしている。それでも通常通りの営業を続けている。中沢氏は「特別なことをしているとは思っていない」と話す。

 「商業施設に入っているような薬局やドラッグストアでは、営業時間を短縮しているところもあったと思いますが、医療業界ではむしろ薬局は開けてほしいと考えられています。今年のゴールデンウィークでも、発熱外来をしていた病院が多かったので、薬局も開けてほしいと要請がありました。ただ、発熱外来から来るお客さんは、場所柄もあって少なかったですね。

 コロナ禍で最も売り上げが少なかったのは、去年の7月頃です。処方箋を扱った場合、収入の7割が入金されるのは2カ月後なので、4月や5月の影響が出た頃ですね。今でも売り上げは通常の3割減の状態です。それでも、お客さんがいなかったオープン当初に比べると全然いいですよ。使命感と言えば使命感かもしれませんけど、どうせ休んでも他にやることはありませんから」

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