2015年7月27日以前の記事
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「駅のホームドア」が普及しているが、安全基準はどうなのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/8 ページ)

京王電鉄京王線で発生した傷害放火事件は記憶に新しいが、犯人の動機などは社会学、心理学の範疇(はんちゅう)で鉄道側としてはなんともしがたい。ただし、鉄道については「防犯」と「防災」の議論が起きた。ホームドアなどの関連する各種施設や機器とその運用、これまでの法令等を見ながら、課題や今後のあり方を考える。

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 ただし犯罪抑止力を考えるならば、ランダムな検査でも効果があると思う。筆者は日本からサンフランシスコ国際空港に到着したとき、身に覚えがないのに係員に呼び止められ、カバンの中身をすべて開けるよう命じられた。初めは驚いたけれども複数の言語で書かれた「関税違反を防止するためのランダムなチェックです。ご協力をお願いします」というカードを見せられてホッとした。

 「食べ物はもっていますか」「ないよ」「これは何ですか」「あ、ごめん、イカクンだ。イカの燻製」「イカクン? フード?」「ごめんフード、フィッシュみたいな」そんなやりとりをして解放された。大勢の旅客の前でやられたから恥ずかしい思いをしたし、これで禁止物が入っていたら面倒なことになっただろう。そして、今後、持ち込み物品には気をつけようと思った。公衆の面前だったから、私を見た人々も「あんな目に遭いたくない」と思うはず。つまりこのチェックは有効だと思う。

 日本の大都市の鉄道では自動改札が普及している。新幹線改札も自動改札機だ。そこで、数百人に1人、つまり1列車につき1人程度の割合でランダムに改札機をふさぎ、検査を実施してはどうだろう。有人改札でやれば「風貌で選んだのか」とクレームになりそうだけど、自動改札なら「機械が選んだので」と言い訳もできる。

 ほとんどの乗客はすり抜けてしまうけれども、検査で発覚するリスクが少しでもあれば、犯罪者は駅に近寄らないかもしれない。最も、そういう冷静な判断力がないから犯罪を起こすともいえるが……。


自動改札機を使ってランダムに手荷物検査に協力していただく人を選ぶ。止められたら不愉快だと感じると思う。しかし全員検査よりは有効だ

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