アサヒグループHD勝木敦志社長「DXを通じて新たなビジネスモデルを作る」 製造工場のリモート操作化を促進:外食需要が激減したビール業界(2/4 ページ)
微アルコール市場の開拓など、新しい価値の創造に意欲を燃やそうとしているアサヒグループホールディングスの勝木敦志社長にインタビューした。
データ分析に力を入れようとした理由
――データ分析に力を入れようとした理由、背景は何ですか。
ビジネスとデータは切り離せない、データ分析は欠かせないものになっているからです。これまでのマーケティングでは、グループインタビューなどで定性調査をすれば市場の動向を理解したと思っていました。これからはそれに加え、AIを活用してお客さまのデータを集めて分析し、顧客の次の行動を予測することまでが求められる世界になってきています。アサヒグループの事業会社各社が個別に持っていたデータを統合して、利活用していきたいと思います。
訓練を受けた社員全員がアナリストになるわけではないですが、データをもとに仕事をすることを身につけた社員が各事業会社に数百人いれば、商品が成功する確率が高まり心強いと思っています。
――ビールの製造工場の遠隔(リモート)操作化を進めようとされているようですが、その狙いは何ですか。
現在、国内8つのビール工場では、水や電気などを使用しているユーティリティー設備を24時間監視しています。この監視・操作業務を遠隔でできないか実験をしている段階です。
絶対に品質に間違いがあってはならないので、十分な実験、検証をしなければなりません。最終的には23年ころに順次、遠隔監視を開始し、国内では25年の完成を目指しています。
海外のオーストラリアでは、インターネット環境さえあれば、ビールの醸造過程を社員の自宅でモニターでき、すでに運用段階に入っています。温度管理など全てができます。
オーストラリアは人件費が高いのですが、人件費の削減だけが目的で導入されたのではありません。遠隔監視ができるようになれば、浮いた時間を使って品質向上に取り組むなどクリエイティブな仕事をしてもらえます。
最終的には1人で国内8工場全ての監視ができるようになります。移動の時間も節約でき、クリエイティブな仕事ができるメリットは大きいと思います。
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