2015年7月27日以前の記事
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なぜ、そうまでしてクラウンを残したいのか?(3)池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

それほどの大仕掛けをしてまで、果たしてクラウンを残す意味があるのかと思う人もいるだろう。今回のクロスオーバーを否定的に捉える人の中には、「伝統的なセダン、クラウンらしいクラウンが売れないのなら、潔く打ち切ればいい。クラウンとは思えないクルマに無理矢理クラウンを名乗らせて延命する意味はない」という声も少なからずあった。

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指示された、セダンへの再チャレンジ

 さて、長い余話を挟んで、話は再び中嶋プレジデントに戻る。豊田社長直々に「本気で考えろ」と言われた中嶋プレジデントは、「クラウンとは何か?」を徹底的に見つめ直すところから始めた。歴代主査の残した資料を徹底的に読み込んだのだ。

 クルマの形や、駆動方式という決まりは何もありませんでした。あったのは、歴代主査の「革新と挑戦」というスピリットでした。私たち自身が、「内向き」に決まりをつくり、自らを動けなくしてしまっていたのです。

 そうして固定観念を排除し、「これからのお客様を笑顔にするクラウンを目指そう」と取り組んだ結果が、クラウン・クロスオーバーになった。祈るような気持ちでそれを豊田社長に見せた時「これで行こう」とようやく決まったのだ。だが同時に新たな宿題が出た。それはセダンへの再チャレンジだった。

 正直、耳を疑いました。一方で、私たちがあのマイナーチェンジの時から、発想を変え、「原点」に戻った今だからこそ、豊田は、セダンをやってみたらどうかと、問いかけているのだと受け止めました。

 それならば、この多様性の時代、ハッチバックや、ワゴンも必要だと、4つの異なるモデルを提案した、というのが正直な経緯です。

 以上が、ファクトをベースに筆者の推測を交えた、16代目クラウンの開発ストーリーである。だが最後にこれを可能にしたもうひとつの仕組みを書いておこうと思う。


固定観念を排除し取り組んだ結果生まれた、クラウン・クロスオーバー

クラウン・クロスオーバー

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