海外売上が9割 電子楽器の雄・ローランドが狙う次の一手:初の直営店もオープン(2/3 ページ)
2022年に創業50年を迎えた、電子楽器の雄・ローランド。昨今では同社初となる直営店を、国内ではなく海外にオープンしたり、アコースティック楽器市場に進出するなど、新たな動きを見せている。ゴードン・レイゾン社長へのインタビューを実施し、同社のこれからの戦略を聞いた。
――初の直営店を、22年にロンドンへオープンされました。これまでの手応えや、今後の予定などをお聞かせください。
ロンドンで直営店をオープンしたことにより、人々の音楽への関心が高まっている点には手応えを感じているところです。また、近隣の楽器店などの売り上げもアップしており、地域としての相乗効果が表れています。週当たりの来客数は1000人以上で、約6割が海外からの旅行客、約5割が楽器愛好者以外の方となっています。
直営店の強みは、スタッフが製品について直接開発者に尋ねて、お客さまに説明ができることです。ローランドをより深く知ってもらえる場所として、今後は、日本や米国を想定して計3店舗の直営店を展開していく予定です。
――中期経営計画では、従来の主力市場である北米、欧州の他にも、今後販売拡大に注力していく新市場として中国、インド、インドネシアを特に挙げています。これらの国々での状況をお聞かせください。
中国、インド、インドネシアの3カ国はともに、人口規模や音楽文化の面でチャンスの大きいマーケットです。中でも中国は特に大きなチャンスが見込めます。中国内の電子ピアノ領域でもともと当社の認知度はかなり低かったのですが、この6年間で一定のシェアまでは伸ばすことができました。
インドでは現在、販売面よりもマーケティング面に力を入れています。ムンバイにアーティストリレーションセンターをオープンしたり、デジタルでの発信を強化したりするなどさまざまなチャレンジに取り組んでいるところです。インドネシアでは、種まき段階の取り組みとして販路拡大を目標に掲げています。
このように、3カ国ではそれぞれ違う方法論でシェア拡大を目指しています。その中で、蓄積したノウハウを水平展開したり、組み合わせたりして、東南アジア、中南米、中東、アフリカなどの国々でも成長を目指します。
――長期ビジョンで「ROLAND WILL BE THE WORLD LEADER IN MUSIC CREATION(音楽の制作・表現・発信でローランドが世界のリーダーとなる)」と掲げています。その思いはどちらにありますか。
ブランドとしての認知度向上に思いを込めて設定しました。「ローランド」という社名を聞いたときに、たとえ楽器愛好者でなくても、音楽制作や表現のことをすぐに連想してもらえることが大切だと考えています。そのためには単純な認知度だけではなく、いかに愛され、受け入れられるかも重要なポイントです。
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